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					I.    ハイテク漁業-操業の自動化と電子機器の活用

     下崎吉矩『近年における欧米漁業技術の動向』(別冊『水産振興』)平成 13 年 3 月 31 日、財団

     法人東京水産振興会より、海中の空間情報取得に関わる部分を抜粋したもの。


     近年における音響測深機、パソコン、人工衛星の発達とその適用技術の進歩は、世界の

漁業技術に著しい発展をもたらした。その代表的なものがトロールの完全自動操業システ

ムである。
    これは、ウインチの自動制御(Auto Winch Control System)トロールアイ
                                            、     (Trawl

Eye System)、立体海底図作成装置(Charting Plotter)の発達に負っている。以下では、

トロール自動操業システムとそれを支援する3つの技術動向、さらにそれらを支える計測

器等について概観する。



1.トロール自動操業システム(Automatic Trawling System)

●「ICS-4000」

・ 1991 年にノルウェーの SIMRAD 社(音響機器)と Rapp-Hydema 社(ウインチ)が

      提携して開発。

・ まず、魚群の漁獲の可能性を計算し、結果を%で表示する。その可能性が 20%以下で

      あれば、コンピュータはその魚群を無視し、ソナーは別の魚群を探す。20%以上であれ

      ば、獲るかどうかは漁労長の判断。

・ 獲ると決まったら、漁労長がボタンを押す。システムは、魚群までのコースと距離をデ

      ィスプレイ上に映し出し、魚群の深度を明示するとともに、本船が魚群に追いつくに必

      要なコース、スピードを魚群の遊泳コース、スピードから計算し、その情報に基づいて

      船のコース、速さを定めて航走する。

・ 気象、海象の情報も考慮に入れての上であるが、船がコースから外れれば、コンピュー

      タは自動的に方向を修正し、適切な船速に調整する。

                ・
・ 漁船が探魚やトロール網の体位 体勢の情報ばかりでなく、ウインチ制御、主機回転数、

      プロペラピッチのコントロール、衛星航法や自動操舵系からのデータも取り込み、これ

      らを統合整合して作動する。

・ コンピュータは、目標とする魚群に対して網が所定のところに到達するに必要なワープ

      の長さを計算し、魚群の動きに合わせて船のコースやトロール網の深さを絶えず調節す

      る。


                                                      I-1
・ 魚群が沈めば、スピードを落とし、ワープを繰り出して網の長さを調整する。曳き網中

   に行く先に尖った岩や海底の障害物があらかじめ発見されると、海底に接近していた網

   は自動的に上方に引き上げられて破断は回避され、それをかわしたら、再び元の漁獲行

   動に戻る。

・ 魚群の移動や底潮、横断流などによって起こる網の運動の変更、障害物の回避、魚の入

   網量のチェックと揚げ網のタイミング等は、すべてコンピュータ自動制御とディスプレ

   イ表示によって行われる。

   http://www.simrad.com/



●Scantrol Auto Trawling System「Scantrol 2000」

・ ノルウェーの Scantrol AS(オートウインチ)が Scanmar AS(漁具モニタリングシス

   テム)と提携して開発。

・ 中層トロールにも、底層トロールにも適用できる。

・ 情報授受は無線方式。

   http://www.scantrol.net/




2.Auto Winch Control System

●「Scanmar Auto Winch Control System」

・ 1.で紹介した「Scantrol 2000」で使われているシステム。

     「予めセットした深度での自動操縦曳網」とか、
・ 船長は、                    「海底形状に沿っていく自動操

   縦曳網」とかを可能にする所定セットの最大と最小の値をディスプレイ上にプログラム

   する。海底の変化に対応して再制御する必要が生じると警報がなる。

・ 浮魚操業中、Scantrol2000 は、トロール網を一定の深度モードにおいて安定的に保持

   する。網につけた深度センサーの信号を用いて、予め設定された深度を保持する。

・ 網は、不断にモニターされ、予め設定された逆潮の最高値を超えることがないよう調節

   される。これは、Scanmar の速度センサーによって行われる。



●「Auto Trawl Winch System」

・ Ulstein Brattvaag 社が開発


                                                  I-2
3.Trawl Eye System(TI)、Trawl Catch Sonar System

・ トロールの操業状態をブリッジにいて、ディスプレイ上で手にとるように知ることがで

   きるシステム。1980 年代初期、日本でも使われるようになったネットレコーダーも同

   様な発想からのものである。

・ アメリカ Wesmar 社「Trawl Catch Soner System」、ノルウェーSIMRAD 社「Simrad

                   、ノルウェーScanmar 社「Scanmar Trawl Eye System」
   Trawl Eye System」                                       、Skipper

                       、Sonartron /JB 社「Multi Purpose Trawl E Sonar」など。
   社「Fx-1428 Trawl Scan」

・ 前方捜査ソナー(up looking soner)とボットム音響測定器(down look sounder)との

   2台の音響機器よりなる1台のセンサーから成るもの。それを本船のコントロールユニ

   ット及びコンピュータに接続すれば、それらが測定した情報が全て、ブリッジの表示装

   置にリアルタイムでビジブルにトロールの形態やトロール周辺の状況が具体的な像で

   リアルに表示されるシステム。

・ TI が提供するのは、漁獲量、距離(開口板間の)
                         、深度、曳網速度、方向、網高さ、水

   温、張力、網騒音、魚群およびその游泳状態(速さ、方向)、魚群量等の情報である。

   また、トロール網の形態、その周囲の海底状況も映し出される。網の中の潮流の方向、

   速さ、圧力も捉えられる。

・ トロールアイシステムでは、ヘッドロープに取り付けた echo sounder から本船のマイ

   クロプロセッサーへ情報を伝達する方式として、ケーブル方式と無線方式がある。

   Wesmar 社はケーブル方式、Scanmar 社は無線方式、SIMRAD 社は 1998 年頃より無

   線方式も採用。

   http://www.wesmar.com/

   http://www.scanmar.no/



3.1      ケーブル式トロールアイシステム

●「Wesmar TCS600E」

①前方走査モード(Forward Scanning mode):

・ ヘッドロープ取り付けの前方展望走査の水中音波探知、360°水平プレーンにおいてト

   ロールの前方 800mを走査できる。

・ 乗組員は、オッターボードの上、下、側方向数百メートルの魚群を見ることができる。

   前方走査は、オッターボードを見やすいようにし、それまでの拡がりと距離を測り、網


                                                                   I-3
  までの位置をモニターする。

・ 岩石や突出部、凹凸部に続く魚、海底に接している魚などのような物体を見ることがで

  きる。彼らが近づいて網に入るときは、位置を確定し、モニターする。そして、魚の深

  度、ヘッドロープからの距離を測定する。

②在来の垂直型ネットサウンダーモード(Conventional Vertical Net Sounder mode):

・ 入網する魚群を見ることができる。

③網形態モード(Net Profile Mode)
                        :

・ 網の開き、形態の幾何学的な形を見ることができる。入網中の魚群を見ることが出来、

  グランドロープから海底面までの間隙を測ること、網の下側、側、の形などをモニター

  する。

④ ダウンルッカーサウンドモード(Downlooker Sound mode)
                                      :

・ Wesmar 社の在来の垂直走査方式は、魚の入網を見ることが出来、網口の高さを測るこ

  とができ、グランドロープと海底との間の間隙を追跡し、網口で魚の数量を見積もる

  A-scope(フィッシュルーペ)を持っている。

⑤ 圧力水深モード(Pressure Depth mode):

・ 圧力水深計によって水中音波探知機のスクリーン上に、表面からヘッドロープまでの連

  続的な圧力深度を提供する。

⑥ 水温モード(Water Temperature mode)
                              :

・ 温度センサーを使って、継続的にヘッドロープのところの水温を 1/10℃の精度でモニタ

  ーする。

⑦ ビーム固定モード(Beam Stabilization mode)
                                  :

・ ソナーのビームは、取り付けの不備や操業中の網の形の不完全さを調整する前方走査、

  下方開視、側面図モードにおいてきっちりと固定されている。

⑧ 漁獲センサーモード(Catch Sensors mode):

・ 常時、遠隔漁獲センサーとヘッドロープユニットが連絡されていて、コッドエンドの情

  報をブリッジのディスプレイに送る。



●「Wesmar TCS 700E」

・ 1997 年頃に更新した TI。

・ ヘッドロープに十分に安定的にとりつけたスキャンニングソナーの半球型容器に、上下


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   観測装置、圧力系深度センサー、精度 1/10℃の温度センサー、キャッチセンサー受信装

   置などを連結した一体とした世界最初のもの。

・ ディスプレイで従来よりもリアルタイムに可視データを見ることができる。



3.2      ケーブルレストロールアイシステム

●「Scantrol」

・ 無線方式で、その稼動をバッテリー稼動方式として、エコサウンダーと一緒にコンパク

   トなコンテナーにバッテリーを内臓したソナーシステムとなっている。バッテリーの使

   用可能時間は限られているので、トローラーは普通 2 組のこのソナーをもっていて、1

   組が操業に使われている間は充電し、交互に使用する必要がある。その代わり、直径

   12m以上もある Sounding cable や net sounding winch を必要としない。




4.ITI System(Integrated Trawl instrumentation)

・ 進歩した計測機器を統合的に駆使するトロール操業のこと。ウインチのオートコントロ

   ーリングシステムとトロールアイシステムの結合。

・ これにエンジンコントロール、推進機コントロール、人工衛星航法、潮流センサー、深

   度センサー、水温センサー、ドアセンサーなどのユニットが組み込まれ、統合される。

   Charting plotter などもその対象となる。

・ ITI システムを提供している会社は多くあるが、Scanmar 社、Rapp Hydema 社、

   SIMRAD 社、Wesmar 社が有名。



●「Simrad ITI System」

・ SIMRAD 社は、1991 年に ITI システムを発売したが、当初は船長たちは、その必要性

   を疑問視した。しかし、200 台販売した後には、何台売ったか分からないほど売れた。

   世界の先進漁業 27 ヶ国が使っている。

・ モジュール方式で、最近は無線方式となっている。トロール網口センサーから、航行シ

   ステム、エコサウンダー、ソナーと接続されるようになっている完全統括型のトロール

   ポジショニング装置、オートウインチコントロールシステム、トロールモニタリング装

   置まで、統合したシステム。


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・ ITI は、目標のところに網をもっていくのにどのくらいの時間がかかるかを計算する。

   そして、7 分から 7.5 分の間にコースを変えて、標識のある魚のいる実際の位置に船を

   もっていかせるようにする。

・ これを使わない場合、4回も航路を往来することがあるが、それでも、わずか1度の軸

   からのはずれ角が原因となって漁獲量に大きな差異が生じる。ITI によって提供される

   精度は、たとえば、Soverein 号の 400Box の水揚げに対して、最も近いライバルが

   200Box の水揚げであったというほど効果をあげている。




5.計測器操業(Instrumentation)を支える漁業計測器と漁労装備

 計測器操業を支える計測器、装置、システムとその主要メーカー、製品には、次のよう

なものがある。うち、北海道東海大グループに関係のある②と③について詳しくみること

にする。

               :
① エコサウンダー(音響探知機)

・ SIMRAD 社「SP270 ソナー」「SD570 ソナー」「ES60 エコサウンダー」
                    、           、

・ Wesmar 社「HD800 スーパーソナー」

・ Scanmar 社

② 海洋漁場図作成システム:

・ SeaStar 社「Sea Star Fish Finding Map サービス」

・ Marine Imaging System 社「Marimsys 海洋底 chart」

・ Sea Floor Imaging 社

③ 海底地形プロティングシステム:

・ Marine Imaging System 社「Marimsys-Navigator」

・ Marine Micro System 社「RoxAnn Seabed Classifiction System」

・ Olex 社「Olex Sea Bottom Charting Plotter」

・ Informatique Mar 社「MaxSea Electronic Chart Plotter」

・ American Pioneer 社「Seatracker Ground Discriminating Color Video Plotter」

・ 古野電気㈱「GP1610F」→現在「GP1850/1650 シリーズ」

④ 漁獲物収容システム:

・ EIT(Environmental Technologies Inc.)社「SilkStream Codend Pump System」
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  メリカ)

⑤ リキッドアイス:

・ Ontec 社「Liquid Ice」(イスラエル)

・ York 社「Flo-Ice」
                (イギリス)



5.1 人工衛星利用による海洋漁場図作成サービスシステム

●「Sea Star Fish Findeing Map サービス」

・ 浮魚漁場探査サービス

・ アメリカの Orbital Science Corporation が打ち上げた Orb View-2 衛星によって送られ

  てくる転写データからつくられる。Orb View-2 と NOAA からインマルサット経由で漁

  船上の PC に伝送される。

・ 水温図が等温線で示されるとともに、植物プランクトンの量に応じ水域が色分けされて

  同じ図の中に示され、潮目、潮境がはっきりと描かれ、出現するであろう好漁場の予測

  分析が行われている。

・ 情報は多くの場合、電子メールで送られる。アメリカでは、50 隻のマグロ船が契約、

  実用にはいっており、他国でも試験的操業が行われている。

   http://www.orbimage.com/seastar/seastar.html



●「Marimsys 海洋底 chart」

・ チリの Maritime Imaging Systems 社では、海図では得られない詳細な等深線図を人工

  衛星の測定する地球への位置及び距離の情報とその地点における重力の計算とから割

  り出して作成する技術(Marimsys satellite bathymery cahrt)を完成した。

・ チリのバルパライソ沖合では、これを利用して、今まで海図になかったような海山が多

  数発見されるようになり、その海山の周辺では、ヘイク、底ダラ、オレンジラフィ、リ

  ングなど有用な魚の操業が盛んになってきている。

・ 重力論を根拠とする海図は、完全なものとは言えないが、市販で手に入る海図は非常に

  寸法が荒い。同社の海図は、1.5°×1.5°きざみの非常に狭い範囲に限定して詳細につ

  くられている。この連続的拡大によって海山の容姿を浮かび出させ、その輪郭を知らせ

  るという作業を完全に行う。

・ ORBIMAGE 社によると、Sea Star の漁場図によって、10 回のうち 9 回は魚の群れの


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  居場所が地図と一致するとのこと。

・ Maritime 社は、操業時、漁船によって採られたデータから直接に記録される水深計測

  学的海図である最良の操業海図をつくることを考えている。これらの海図があれば、障

  害物を知ることも可能である。

   http://www.marimsys.com/



●「Sea Floor Imaging Inc.の海洋海底図」

・ ニューカレドニアの Seafloor Imageing Inc.は、1991 年以来、人工衛星データを利用し

  て海洋底チャートをつくって、それを売り出している。また、そのチャートづくりを請

  け負っている。

・ そのチャートづくりには、Seasat and Geostat USA) Topex/Poseidon
                               (    、              (France/USA)、

  及び ERS1 and 2(Europe)が利用されている。

・ 人工衛星データを利用する海底マップの作成のシステムによって発見される海山の割

  合は、船舶による発見よりもはるかに高く、精度は高く、1 平方km当りの調査に対し

  て、調査速度が非常に早く、調査費用も安くあがるといわれる。

・ 海山の周辺には、オレンジラフィや赤メヌケ、キンメなどの底魚がおり、それを餌に求

  めてマグロなどの大型の魚が集まってくる。アメリカ、台湾、日本などの会社は、すで

  に、同社の海図を使用している。

   http://www.seafloorsystems.com/



5.2 海底地形プロッティングシステム

・ 広い海洋底の詳細な等深線図をつくる Charting システムは、人工衛星データ、GPS、

  コンピュータなどによる重力解析、などを通して、従来のエコサウンダーを用いる作成

  方法を凌駕するほどになっている。これは漁場の選定や漁獲性能の向上に著しい成果を

  あげている。

・ 最近トロール操業に使用されて著しく漁獲効率の向上に寄与しているものに、海底地形

  Plotting システムがある。そのシステムのほとんどは、船上のコンピュータに GPS、

  エコサウンダーとプロッターを接続して、統括的なシステムとしたもので、最近は、そ

  の背景に Charting システムで得られたディスクやカセットから得られる等深線チャー

  トを配して、ディスプレイ上に表示させるものが多くなっている。


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・ エコサウンダーの記録は、プロッターにより、二次元、三次元の等深図上に色分けされ

  た輪郭像で表示される。

・ 日本では、1999 年にフルノが Plotter、GPS、2周波漁探を配した GP1610F を製造し

                         (海上保安庁の測位データで作成された地図を
  ている→現在「GP1850/1650 シリーズ」

    。
  利用)



●「コンピュータ制御海底海図(Electronic chart of the seabed :King Fisher)」

・ 1996 年にその走りである海底電子チャートがイギリス漁業局から発表された。King

  Fisher フロッピーディスクと命名されたそのディスクは、沈船、油・ガス施設、パイプ

  ライン、電話ケーブル、深みや海底突起などのような海底障害物を詳細に表示する層で

  出来ていて、スタンダード 480PC と共用する。そのフロッピーディスクは、ウインド

  ウズをベースとする Chartwork Marine によって提供される作動システムによって動

  くようになっている。

・ Map からの地図作成法にしたがって、そのシステムは、GPS ナビゲーションシステム

  に接続される。

・ 海底の障害物等は、長年にわたって、船長のログブックを含め、多くの情報源から記録

  されていたもの。船長は、自分が採ったノートを電子機器操作により、追加情報として

  ディスクの層に入れることができる。



●「Marimsys-Navigator」

・ Marine Imaging System 社の Marimsys-Navigator は、1997 年に発表された。特徴は、

  温度表示と海底立体像との二つを表示できること。背景図として、等深線図と等温線図

  を使った表示が可能。

・ チャートの保管形式において、チャートはグループにして集合されており、あるグルー

  プのものが出されて、その中のどれでものチャートのアウトラインをディスプレイ上に

  示させることができる。そして次へ行くには、どのチャートをみるのが良いかすぐに分

  かるようになっている。

・ これらの像は、船位カーソルの後ろに現れ、船は、これらの像の上を航行する。メカジ

  キ、エビ、カタクチイワシのような温度依存性の強い魚を追うとき、船長は、NOAA

  から直接採られる温度イメージ背景図を使用することができる。船は、等温線をみて航


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  走する。

・ トローラ、底延縄船、カニ篭船にとって好ましいチャートの背景は、詳細な海底図であ

  る。海底データを自動的に書き込む詳細な海底チャートがその船のために用意されてい

  る。

・ プログラムは、Microsoft Access 社のデータベースによってつくられている。それは船

  によって得られる地理的、気象的情報から詳細な分析のための方法を示す関係のデータ

  ベースである。Marimsys-Navigator があれば、普通には失われてしまうデータは、後々

  の使用のために数秒ごとにハードディスクに貯えられる。漁獲の記録は、時刻、日付、

  経度/緯度情報のほか、天候および log entries と一緒に貯えられる。たとえば、船長は、

  ある深さで何度の水温なら魚を獲れるかをデータベースから知ることが可能である。



●「RoxAnn 海底詳細図作成システム(RoxAnn Seabed Classificztion System」

・ スコットランドの Marine Micro System(MMS)社が 1996 年に製造をはじめたもの。

  ブリッジのコンピュータに、エコサウンダー、船位システム、RoxAnn システムを接続

  すれば、ディスプレイは、見たいところの場所の海底像を背景チャートと共に表示する。

・ 表示は、チャート背景に対して、海底タイプによって色分けされた船のトラックライン

  となっている。それらの情報は、長年の間、漁船、船舶によってディスクに集めておく

  ものから作られる。

・ ベルギー、フランス、ノルウェー、オランダ、スペインなどのヨーロッパ諸国のほか、

  オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、南アフリカ、北米、南米などにも輸

  出されている。

・ ロブスター、カニ、帄立貝、ハマグリ、イガイ、その他底棲性の魚介類を漁獲目標とし

  ている漁業者にとって効果的な漁をするために利用されている。

・ RoxAnn システムは、音響測深機に接続すると、自動的に色分けされた海底床象判別を

  提供するように機能する水中音波処理装置である。ラフな海底とスムースな海底の識別

  とか、硬い底質と柔かい底質の識別を行い、必要とする漁獲対象物の位置を正確に示す。

・ RoxMap は、MMS 社が出した PC ベースの航海システムである。RoxAnn 海底識別シ

  ステムからのデータを表示するようにつくられている。海底のタイプに応じて船の航路

  下の海底を着色する。選択的 RoxMap-3D は、リアルタイムで3D イメージを示す。

   http://www.seabed.co.uk/


                                                            I-10
●「Olex 海底図プロッター(Olex Sea Bottom Charting Plotter)」

・ およそ 25 隻の 10m 以上の漁船が3D の海底地図を自船のスクリーンに映し出して操業

   をしている。経費は 7000 ドル以下(100 円で 70 万円)である。

・ Unix Linux のパソコンに入れてあるノルウェーの Olex ソフトウエアが用いられている。

・ Olex は、自動的に地誌的な海底地図を作り出してくれる。地図は音響測深器と GPS か

   ら採った深度と位置のデータからリアルタイムでつくられる。

・ Olex 社は、科学技術ノルウェー大学の調査船 Harry Borthen 号に装備してテストを行

   った。二次元と三次元マップがつくれる。漁場の外形が表示される。

   http://www.olex.no/



●「MaxSea コンピュータ制御チャートプロッター(MaxSea Electronic chart plotter)
                                                          」

・ Informatique Mar 社

・ 漁業者は、新 MaxSea2D/3D モジュールを使って、魚場を見ることが出来る。等深線

   表示モードに加えて、たとえば、深度線番号やタイプの選択によって、傾斜表示モード

   にすれば、傾斜面の不規則性が一層よくわかるようになっている。ユーザは、一目みて、

   海底が円滑であるか、単に裂け目があるかを発見することができる。

・ 海底表面の表示は、色で海底の特徴を示し、そして三次元モードでは、調整できるスケ

   ールにより、船の周囲や下方の海底の概景をみることができる。

・ 輪切り面の像を利用したもっと科学的な立体的景観が漁業者の起伏パターンの分析を

   助けてくれる。等深線チャートは、900mの解像までは無料である。さらに一層正確な

   チャートがいろいろな値段で利用できる。

・ この新しいモジュールの一つの利点は、それが MaxSea 操業ソフトウエア及び航海ソフ

   トウエアと完全に統合されていること。ユーザは、彼の航海機器、航海標識、航行レイ

   ヤ(層)を提供し、彼の航跡を記録したりする。一方、それは三次元でスクリーン上に

   表示される。

・ もう一つの重要な特徴は、チャート特性表示である。航海チャートは三次元で示される。

   その接続は、元の MaxSea のそれと同様に直覚的である。

・ 深度直覚的目盛盤によって、ユーザは、必要なデータを早急に手に入れることができる。

   自動立体配置ボタンによって、さらに詳細な分析のために現在の海底の明瞭な景観が得


                                                        I-11
   られる。

                             ノルウェーでは 45%のシェアである。
・ アイスランドの 70%が MaxSea を利用しており、

   大型トレーラーでは、80%のシェア。

・ MaxSea は、American Pioneer 社の SeaTracker に接続することができるとともに、

   RoxAnn とも互換性を持っている。

・ GPS データは常時受信し、リアルタイムで船位が表示されるのは無論のこと、信号が

   途絶えると可視警報器が働き、潮汐特性が船のドラフトに基づいて触底時刻を表示する

   と共に、Fast loading によって流行、流速も表示することができる。

   http://www.maxsea.com/



●「海底識別カラービデオ作図装置(Seatracker ground discriminating color video

plotter)」

・ アメリカの American Pioneer 社から 1998 年に売り出された製品。

・ 同社によれば、ヨーロッパのプロッターの 3 分の 1 の値段であるとのことだ。

・ これを使うと、漁業者は、自分用の詳細な等深線図をつくることができる。海底の深度、

   硬さ、荒さ、水温を表示するとともに、tracks、waypoint、notes のような標準的な作

   図機能を合わせ持つ。硬さと荒さは、色で表される。

・ 同社の2周波スキャンは、低価格なソナーで、120 尋までの操業のために、漁場の識別

   がなされる。設置装置のために大きな場所もとらず、設置費も安い。

・ 破網を起こしかねない荒場漁場を探索する漁船の前面とか、すぐ傍を走査することが可

   能になるので、漁船は最小の漁具の損失と最大の漁獲でもって荒場漁場に近接して網を

   曳くことができる。

・ 同社の漁場識別システムの心臓部は、超高解像力魚影観察装置である。ソナーの信号処

   理機能を使って、その魚影観察装置は、魚と海底からの反射波を分析する。海底の硬さ、

   荒さ、魚群量は、それぞれ波動音発信装置から計算される。その情報は永久記録と表示

   用にプロッターに送られる。




                                                          I-12
II.    北海道と水産業
1.日本の水産業にとっての北海道

      北海道は、日本の水産業のなかで大きな地位を占めているとともに、北海道経済にとっ

て、水産業は重要な地位を占めている。

      まず、表1のように、北海道は、漁業でも養殖業でも都道府県別で第一位であり、漁業

では、全国の 3 割を占めている。なかでも、ホタテ貝、スケトウダラ、サケ、ホッケ、昆

布で全国的にみても高いシェアを誇っている(表2)。


        表1   海面漁業・養殖業都道府県別生産量と順位(2002 年)

                                                              海      面
                                計
       府           県                               漁   業                 養 殖 業
                       生 産 量 (t) 順       位 漁 獲 量 (t) 順          位 収 獲 量 (t) 順         位
       全           国   5 767 001 H14   H13    4 433 754 H14   H13   1 333 247 H14   H13
       北海道のシ ェ ア           26. 5%                30. 5%                13. 4%
       北     海     道   1 530 747     1 ( 1)   1 351 668    1 ( 1)    179 079    1 ( 1)
       宮           城     403 425     2 ( 2)    271 427     3 ( 2)    131 997    2 ( 2)
       青           森     305 908     3 ( 3)    196 776     4 ( 5)    109 132    4 ( 4)
       長           崎     301 925     4 ( 4)    278 477     2 ( 3)     23 448    16 ( 15)
       千           葉     202 660     5 ( 9)    180 911     6 ( 7)     21 749    17 ( 18)
       (出所)(出所)農林水産省『漁業・養殖業生産統計』平成 14 年度



       表2    主要魚種の全国シェア (2001 年)
                                                          (    千ト 億円)
                                                           単位: ン、
                                
                             数  量                             
                                                          金  額
           魚種名
                    北海道      全 国         シェア        北海道    全  国    シェア
       ホタ テガイ         411       527       78.
                                            2%        678     851     6%
                                                                    79.
       スケトウダラ         215       242       88.
                                            7%        205     227     4%
                                                                    90.
        サ  ケ          170       211       80.
                                            4%        414     546     8%
                                                                    75.
        ホッ ケ          157       161       97.
                                            7%         71       74    9%
                                                                    95.
        コ ンブ          128       160       79.
                                            7%        317     362     4%
                                                                    87.
         イ カ          119       521       22.
                                            8%        153     027
                                                             1,       9%
                                                                    14.
        サンマ           140       270       51.
                                            9%        161     297     2%
                                                                    54.
        カレイ            26        63       40.
                                            5%        103     370     9%
                                                                    27.
           
         タ コ           19        45       42.
                                            0%         89     229     8%
                                                                    38.
        ウ  ニ            5        11       46.
                                            7%         76     140     2%
                                                                    54.
      (出所)農林水産省『漁業・養殖業生産統計年報』
      (出典)データでみる北海道の水産
       http:    pref.
      ( //w w w .   hokkai j
                         do.p/sri u/sr-kcsei
                                nm         /yutakanaum i           htm )
                                                       /data/data13. l



                                                                                     II-1
2.北海道にとっての水産業

 北海道の産業構造に占める漁業の地位は、事業所数でみると 0.2%、従業者数でみても

0.3%であり(確かに全国シェアでみるとそれぞれ 15.9%、14.4%と高いものの)、重要な

地位を占めているようにみえない。

 しかし、もう少し丁寧にみると、北海道経済にとって水産業は、より重要な地位にある。

    (道内総生産―移輸出)/道内需要合計=自給率を業種別にみると、農林水産業
たとえば、

は 0.78 と、製造業の 0.38 をはるかに超えており、道外への依存が少ない産業であるといえ

る。また、生産・需要比率(道内総生産/道内需要合計)をみると、パルプ・紙や鉄鋼以

外の製造業が低いのに対し、農林水産業は、1.18、食料品製造業は 1.17 と1を超えている

               。うち水産業は、1995 年までは1を超えていたが 1998
(道外に移出していると思われる)

年には 0.92 と1を割り込んでいる。しかし、後述するように、珍味などに加工されている

ものも多く、道外からお金を稼いでいる産業といえよう。




 表3   北海道主要産業の自給率と生産・需要比率


                       自給率( %)                生産・需要比率(  %)
            1970年    1990年 1995年 1998年 1970年 1990年 1995年 1998年
農林水産業         0.82     0.75  0.77  0.78  1.01    15
                                                1.   1.17  1.18
 水産業          0.85     0.83  0.81  0.73  1.22    11
                                                1.   1.03  0.92
製造業           0.54     0.41  0.38  0.38  0.81    73
                                                0.   0.69  0.70
 食料品          0.68     0.63  0.58  0.56  1.14    30
                                                1.   1.18  1.17
 パルプ・紙        0.86     0.66  0.59  0.57  1.70    76
                                                1.   1.52  1.51
 窯業・土石        0.65     0.71  0.67  0.70  0.67    85
                                                0.   0.85  0.86
 鉄鋼           0.82     0.62  0.50  0.47  1.17    93
                                                0.   0.90  0.94
 機械           0.29     0.10  0.12  0.12  0.40    21
                                                0.   0.31  0.34
 注1 北海道産業連関表(
( )                  北海道開発局)       による。
             http:     hkd. i go.p/統計調査資料欄
    出典U R L: //w w w . m lt. j
 注2 自給率=(
( )           道内総生産-移輸出)         /道内需要合計
 注3 生産・
( )      需要比率=道内総生産/道内需要合計
 注4 産業連関表で移出入をゼロと
( )                           みなし  ている建設業及び移輸出入の構成比の低い第三次産業を除く
(出典)   北海道『 北海道経済要覧』        2004
 http:    pref.
( //w w w .        do.p/ski
              hokkai j                /youran/yoran2004/2004. )
                          kaku/sk-kcsnj                     htm

 また、製造業についてみると、食料品製造業は、北海道のなかで大きなシェアを持って

いる。食料品製造業は、全国では 8.5%を占めるに過ぎないが、北海道では 33.4%を占める

重要産業である。これは、全国的にみて、輸送用機械器具製造業が占める 17.8%から考え

ても、実に大きな数字といえる。


                                                              II-2
   表4    北海道の業種別製造業出荷額
                                                     2002年(  億円、%)
                                      北海道                   全国
                                   出荷額 構成比             出荷額     構成比
  製造業計                                476
                                    53,   100.
                                             0          693,
                                                      2, 618       0
                                                                100.
  09 食料品製造業                           871
                                    17,    33.
                                             4             840
                                                        229,       5
                                                                  8.
  18 石油製品・石炭製品製造業                     904
                                     4,     9.
                                             2             762
                                                         95,       6
                                                                  3.
         紙・
  15 パルプ・ 紙加工品製造業                     231
                                     4,     7.
                                             9             520
                                                         71,       7
                                                                  2.
        タ  ・
  10 飲料・ バコ 飼料製造業                     932
                                     3,     7.
                                             4             266
                                                        106,       9
                                                                  3.
  25 金属製造業                            076
                                     3,     5.
                                             8             365
                                                        137,       1
                                                                  5.
  30 輸送用機械器具製造業                       197
                                     2,     4.
                                             1             974
                                                        479,       8
                                                                 17.
  26 一般機械器具製造業                        799
                                     1,     3.
                                             4             773
                                                        254,       5
                                                                  9.
  17 化学工業                             420
                                     1,     2.
                                             7             483
                                                        227,       4
                                                                  8.
  27 電気機械器具製造業                        559    0
                                            1.             876
                                                        177,       6
                                                                  6.
   注1 工業統計調査(
  ( )                            H 12.
                     経済産業省: 14. 31現在)          による。        、
                                                      ただし 従業者4人以上の事業所
          http:      m . j         sti ndex. l
  出典U R L: //w w w . etigo.p/stati cs/i      htm
          http:
  関連U R L: //w w w . pref.
                         hokkai j
                               do.p/ski
                                      kaku/sk-kctki             deta.
                                                   /20deta/toukei    htm
  道企画振興部統計課-統計調査の結果
  (出典)   北海道『   北海道経済要覧』        2004
   http:
  ( //w w w .    hokkai j
             pref.            kaku/sk-kcsnj
                       do.p/ski                                   htm
                                           /youran/yoran2004/2004. )



 北海道の食料品製造業のうち、最も出荷額規模が大きいのは、乳製品製造業であるが、

これに次いで、その他の水産食料品製造業、冷凍水産食品製造業、塩干・塩蔵品製造業と

水産関連の製造業が続いている。これに冷凍水産物製造業を合わせた 4 業種で北海道の食

料品製造業の 34.4%を占めており、北海道の食料品製造業に占める水産加工の比率は高い。


   表5    北海道の主な食料品製造業               2002 年

                       出荷額 全国シェ
                       (億円) ア(%)
  0912 乳製品製造業             556
                         3,     7
                              15.
  0929 その他の水産食料品製造業       133
                         2,     3
                              17.
  0926 冷凍水産食品製造業          042
                         2,     2
                              29.
  0924 塩干・塩蔵品製造業          353
                         1,     8
                              51.
  0911 肉製品製造業             975   4
                               5.
  0951 砂糖製造業(砂糖精製業を除く)    940   4
                              62.
  0999 他に分類されない食料品製造業     936   7
                               3.
  0925 冷凍水産物製造業           622   2
                              16.
          食料品製造業          871
                        17,     8
                               7.

   (出典)表4に同じ。




                                                                           II-3
 また、北海道の卸売業における農畜産物・水産物のシェアは 22.0%となっており、卸売

業でも、一次産品の扱いが大きなウエイトを占めている。さらに、北海道では、観光も大

きな産業の一つであるが、道外からの観光客が目当てにしてくるのも、北海道の海の幸で

あることが多い。


    表6     北海道の卸売業上位業種

                                     全体に占
     順位      商品販売額上位業種               めるシェ
                                       %)
                                      ア(
      1    農畜産物・水産物                       0
                                        22.
      2    食料・飲料                          0
                                        14.
      3    建築材料                           0
                                        11.
      4    鉱物・金属材料                        7
                                         9.
      5    医薬品・化粧品等                       0
                                         7.
     (出典)表4に同じ。


 このように、水産業は、北海道経済にとって、産業構造で単純に見たもの以上に大きな

地位を占めている。さらに、地域によっては、以下の表にみるように、漁業そのものが大

きなシェアを占めており、こうした地域にとって漁業の浮き沈みがもたらす影響は大きい。


    表7     道内各地域の就業構造(2000 年)

             第一次産業                         第二次産業          第三次産業
                                漁業
    根室                 0
                     25.          12.
                                    7                3
                                                   22.              6
                                                                  52.
    宗谷                 0
                     17.          11.
                                    1                2
                                                   25.              7
                                                                  57.
    日高                 3
                     29.           8.
                                    3                6
                                                   18.              2
                                                                  52.
    留萌                 3
                     16.           5.
                                    0                5
                                                   26.              2
                                                                  57.
    檜山                 7
                     19.           4.
                                    7                4
                                                   27.              8
                                                                  52.
    渡島                 4
                      8.           4.
                                    7                7
                                                   23.              3
                                                                  67.
    釧路                 3
                      8.           4.
                                    2                0
                                                   24.              7
                                                                  67.
    網走                 5
                     14.           2.
                                    4                0
                                                   25.              9
                                                                  59.
    後志                 2
                      9.           1.
                                    7                4
                                                   22.              1
                                                                  68.
    胆振                 0
                      5.           0.
                                    8                3
                                                   27.              2
                                                                  67.
    十勝                 3
                     15.           0.
                                    5                8
                                                   21.              8
                                                                  61.
    空知                 4
                     15.           0.
                                    0                0
                                                   24.              5
                                                                  60.
    上川                 6
                     10.           0.
                                    0                2
                                                   22.              4
                                                                  66.
    石狩                 3
                      1.           0.
                                    0                4
                                                   19.              4
                                                                  77.
    全道                 0
                      8.           1.
                                    6                1
                                                   22.              9
                                                                  68.
   注)
  ( 国勢調査(       総務省) による。  計には分類不能の者を含む。
          http:    pref.
  出典U R L: //w w w .   hokkai j
                            do.p/ski
                                   kaku/sk-kctki
                                               /20deta/20koku/xl      hyou. #2
                                                               s/toukei   htm
  (道企画振興部統計課)

  (出典)表4に同じ。


                                                                                 II-4
3.地域別動向

 北海道では、おおまかに道東やオホーツク海側は相対的に収益性が高く、一方、日本海

側と道南は収益性が低い(注1)。たとえば、漁協事業について、事業管理費が事業総利益

を上回っている(赤字)地域をみると、石狩、後志、檜山・渡島、日高、留萌となってい

る。



     表8   地区別にみた漁協経営
                                    2001年度、
                                    (      百万円、%)
          事業管理費/           事業総利益で事業管理費を
     区分          事業利益 当期利益
          事業総利益             賄いきれなかった組合数
石狩       137 ▲58              ▲5                3
後志       117 ▲239               7              10
檜山・渡島    111 ▲533            ▲141              22
胆振        93   98             232               5
日高       104 ▲68               55               6
十勝        96   40              76               1
釧路        95  145             131               2
根室        86  652             670               0
網走        84  655             517               1
宗谷        93  214             208               4
留萌       104 ▲38             ▲77                5
出所)
(  北海道水産林務部水産経営課
 (出典)北海道『北海道水産統計表』平成 14 年度




                                                    II-5
            地区組合員の年齢構成(2001年度末、%)
  35


  30
                                                                 図1
  25
                                                                 地区別組合員の
  20                                                    留萌~檜山    年齢構成
                                                        渡島~日高
                                                        十勝~根室    (2001 年度末、%)
  15                                                    網走~宗谷

  10


   5


   0
        ~19   20~29 30~39 40~49 50~59 60~69   70~   年齢階層



 (出所)北海道指導漁業協同組合連合会「北海道漁業協同組合の現況」
 (出典)北海道『北海道水産統計表』平成 14 年度


 地区組合員の年齢構成をみると、留萌~檜山では、60 歳代、70 歳以上が 63%を占め、

壮年層や若者層が極端に少ない。一方、その他の地域では、30 歳代からの壮年層がそれな

りのシェアを占めている。

 相対的に収益性の高い地域では、組合員数の減少幅が少ないが、収益性の低い地域では、

組合員数が大幅に減少している。

                                              2001年度)
                                              (
                 組合員数              販売取扱高
       支庁      1992年度を100      1組合当り  1組合員当り
                  し
                 と た指数         (百万円)    千円)
                                        (
                                                            表9
       石狩                 67          467             052
                                                     8,
       後志                 73          255
                                     1,               677
                                                     7,     地区別組合員数の
       檜山                 68          587
                                     8,               886
                                                     6,
       渡島                 72          691
                                     1,               279
                                                     7,     推移と販売取扱高
       胆振                 76          078
                                     1,               675
                                                    10,
       日高                 82          664
                                     1,               020
                                                     8,
       十勝                 79          646
                                     2,               473
                                                    15,
       釧路                 85          346
                                     5,               555
                                                    18,
       根室                 89          979
                                     7,               137
                                                    26,
       網走                 92          528
                                     5,               940
                                                    30,
       宗谷                 80          631
                                     2,               054
                                                    11,
       留萌                 73          307
                                     1,               082
                                                    13,
        計                 78          723
                                     2,               998
                                                    12,
  (出所)北海道水産林務部水産経営課
  (出典)北海道『北海道水産統計表』平成 14 年度


                                                                          II-6
III. 世界のなかの水産業
1.世界的な食料危機の懸念

 日本は、食料の 60%を輸入に依存しているが、国連の予測では、世界の人口は、現在の

62 億人から 2030 年に 83 億人になるとされており、このまま輸入を続けられるのだろうか

との懸念がある。

 FAO(国連食料農業機関)によれば、人口の増加はまだ大きいもののその速度は低下し

ていき、また、世界の大需要国である中国については、食料の充足段階へ到達していると

して、今後の需要拡大速度は低下し、生産もこれに見合って推移していくことができるだ

          。
ろうとしている(注1)

 しかし、これについては、楽観的過ぎるとの専門家の見方もある。

 地球環境や食料問題について発言を続けているアースポリシー研究所のジャネット・ラ

ーセンによれば、①世界の穀物作付面積は減少している、②人口増加により一人当たりの

耕地が減少している(1950 年の 0.23ha から 2000 年には 0.11ha に縮小)
                                               、③生産性が伸び

悩んでいる(1950~90 年には、                     90
                  土地生産性の年間上昇率は 2%であったが、 年以降は1%

前後まで低下、今後数年間でさらに落ち込むおそれもある)ことをあげ、人口増加の抑制

を訴えている(注2)。また、過放牧により家畜に草が食べつくされ、世界中で砂漠が拡大

しているという。

 同研究所長のレスター・ブラウンは、近著『プランB-エコ・エコノミーをめざして』

で、地下水の過剰揚水による水不足と地球温暖化が穀物生産に打撃を与えているとし、従

来通りの生活「プラン A」から地球環境を回復させる「プラン B」に早急にシフトする必要

性を呼びかけている(注3)。

 以上のような耕地面積の減少や土地生産性の伸び悩み、水不足や地球温暖化のほかにも

懸念材料がある。それは、所得が豊かになると途上国でも食生活が変化し、肉類などの畜

                      肉を 1kg 生産するために必要な穀物は、
産物や油脂類などをよく食べるようになることだ。

例えば牛肉の場合とうもろこし 11kg といわれている(注4)。食肉への需要が高まると、

耕地面積をたくさん必要とするようになるので、たとえ耕地面積が維持されたとしても、

食料不足が生じる可能性がある。

  国民の生活向上に伴い、中国でも、畜産品消費量が増加し、特に最近では牛肉の消費量が

拡大している。95 年の牛肉生産量は、415 万トンと 80 年当時(27 万トン)の 15.4 倍に拡大し、

牛の飼育頭数も 78 年当時の 0.7 億頭から 1.3 億頭と倍近くまで増加している(注5)。


                                                    III-1
2.食料としての水産資源

 世界的に水産物への需要が拡大している。これは、人口増加によるものと、ヘルシーな

ので一人当たり消費量が増加したことによっている。FAO の集計によると、魚介類の1人

当たりの食用仕向供給量は、世界平均で、11.0kg/人・年(1969~1971 年平均)から 15.9kg/

人・年(1999~2001 年平均)へと、30 年間で約 5 割増加した。

 世界の水産物の生産量は、過去 30 年間で、ほぼ 2 倍に増加し、近年の魚介類の生産量は

約1億3千万トン、藻(草)類を含めると、約1億4千万トンになっている。

 1970 年代初頭には、漁獲によるものがほとんどであったが、1980 年代以降、養殖生産(コ

イ類等の淡水魚やカキ等の貝類など)が拡大し、その一方漁獲量は 1990 年代に入って頭打

ちとなっているため、近年では魚介類生産の約 3 割が養殖生産となっている。


表1    世界の漁業・養殖業生産量

                                                           (    万ト
                                                            単位: ン)
                   1969~71年 1989~91年                       1999~01年
                   平均          平均                          平均
 淡水魚 (注1)                 660       516
                                   1,                             062
                                                                 3,
        タ
 海産底魚類( ラ等)               692
                         1,         066
                                   2,                             093
                                                                 2,
 海産浮魚類( ニシン、 イワシ等)       2,
                          827       931
                                   3,                             991
                                                                 3,
 その他海産魚                   581       996                           060
                                                                 1,
 軟体類(    タ 、
      イカ・ コ 貝類等)          374       920                           841
                                                                 1,
 甲殻類( エビ・カニ等)             196       479                           817
 その他                        12        36                            78
       魚介類の小計             342
                         6,         945
                                   9,                             943
                                                                12,
   草)
 藻( 類                     209       541                           140
                                                                 1,
 ほ乳類                       0.1       0.2                           0.2
       合計                 551
                         6,         486
                                  10,                             082
                                                                14,
 (注1)サケ・マス類などの溯河性魚種、            降河性魚種を含む。
 (注2)                計と
     四捨五入の関係で、 内訳は必ずし 一致し            も     ない。
 (   FA FI         C              on
  出所) O 「 SH STA T( apture producti 1950-2001)及び( quacul
                                                 A     ture producti 1950-2001)
                                                                   on          」
 から    FA
    作成( O STA Tグループで魚種を集計)
 (出典)水産庁『  水産白書』     平成15年度


 また、生産を地域別に見ると、途上国のウエイトが高まっており、中でも中国は、今や

世界の生産量の約3分の1を占める世界一の生産国となっている(中国は、世界最大の需

要国でもあり、輸入国でもある)。

 FAO のフードバランスシートから地域別の魚介類の需給状況を見ると、EU、北米、日本

といった先進国地域、及び中国で純輸入が大きい一方、南米が主要な純輸出地域となって

いる。


                                                                                   III-2
表 世界の魚介類需給表
表2 世界の魚介類需給表
                                                                             1000t、%
上位       生産量         比率       輸入量        比率       輸出量         比率       需要量           比率
 1    中国    43613      0
                     34.   中国    8272    16.
                                           1   ペルー    8824      8
                                                              18.   中国        47564 37.6
 2    ペルー    7993      2
                      6.   日本    6395    12.
                                           5   中国     4339      2
                                                               9.   日本        11459 9. 1
 3    インド    5965      7
                      4.     リ
                           アメ カ  3522     6.
                                           9   チリ     3874      2
                                                               8.     リ
                                                                    アメ カ       7002 5. 5
 4    日本     5484      3
                      4.   ドイツ   2490     4.
                                           9   デンマーク 2569       5
                                                               5.   インド        5567 4. 4
 5      リ
      アメ カ   5389     4.
                       2   スペイン 2401       7
                                          4.   ノルウエー  2526      4
                                                               5.   インドネシア     4986 3. 9
5ヶ国         68444      4
                     53.        23080    45.
                                           0         22132      1
                                                              47.             76578 60.6
世界         128113      0
                    100.        51330   100.
                                           0         47026      0
                                                             100.                      0
                                                                             126422 100.
(   F O” o d B ln e S e t sh,
 出所) A F o   aa c   h e :Fi Seafood 2000 ”




      図1   先進国・途上国別需給表


 140000


 120000

                                                                       輸入量
 100000


  80000
                                                        内需
                                                        8400
  60000                                                  万t          国内向生産
              内需                                                                       生産量
                             輸入量                                                        1億t
  40000       4000
               万t
                           国内向生産          生産量
  20000
                                          3000
                             輸出量                                       輸出量
                                           万t
       0
                             先進国                                       途上国

 (注)供給量=内需とした。在庫は無視している。

 (出所)FAO “Food Balance Sheet : Fish, Seafood 2000”




                                                                                       III-3
IV. 水産海洋分野における GIS による空間解析の現状と展望


西田勤・Geoff Meaden・伊藤喜代志「海洋 GIS と空間解析:水産海洋分野における現状と展望」から
の抜粋(2003 年 12 月 11 日~12 日に開催された東京大学海洋研究所共同利用シンポジウム「海洋 GIS
と空間解析-そのサイエンスと未来-」での報告)


 上記論文は、過去2回の「水産科学・水圏生態分野における GIS・空間解析国際シンポジウム」で発
表されたものを中心に全部で 174 件の論文を参考に、水産海洋分野における GIS による空間解析の現
状と展望についてまとめたものである。この分野で現在どのような研究がなされているのかをつかむの
に有益なので、ポイントを抜粋した。
 ここでは、対象論文を7領域(計測、低次生産、環境、水産資源、輸送、海洋生態、漁海況)に分類
している。


1. 計測
 GIS および空間解析に関わる主な計測手法は、RS(リモートセンシング)で、人工衛星・航空機など
による空からの RS と音響機器による海中における RS の2種がある。
1.1 空からの RS
 以前は人工衛星からのリモートセンシング情報による潮目、湧昇流モニタリング、漁場形成機構、回
遊の研究が主流で、RS 情報(衛星画像)そのものを定性的に利用した研究が多かった。しかし最近で
                    、航空機からのデジタル写真、レーザー(LIDAR) 等の
は、衛星情報のほかに、マイクロ波(SAR)
情報と漁業・環境に関するデジタル情報と組み合せ、GIS をプラットフォームとした環境・水産生物の
分布・密度に関する研究、漁海況予測など統合的な空間解析が活発に行われている。
 論文事例:
・ SAR と GIS による漁船・違法船(IUU)操業の監視と水産資源のモニタリング(英国・カナダ)
・ GIS/LIDAR による水産生物の生息環境マッピング(ロシア)
・ 漁業モニタリングのための 10 種類のリモート・センシング・データに関する GIS による評価
・ RS(航空デジタル写真)/GIS 技術を組み合わせた喜望峰沖のケルプ生物量評価(南アフリカ)
・ サンマ回遊研究のための GIS と DMSP/OLS 画像による統合解析(北太平洋)
・ イカ漁船団の光による RS/GIS 漁獲努力量分布解析(南東太平洋)


1.2 水中での RS
 音響機器(計量魚探、ソナー)で得られるデジタル情報と水深別環境情報を、GIS に取り入れ3次元
場を基盤とした、現存量推定、海底地形や底質マッピング、さらに魚群生態に関する研究が進展してい
る。3次元情報が増加するにつれ精度の高い推定や結果が得られるようになってきている。
 論文事例:
・ マルチビームソナーの海底地形の反射強度データによる底質・海底地形および海草ポシドニア藻場


                                                      IV-1
  の GIS マッピング(チュニジア)
・ サイドスキャンソナーデータと GIS による海底地形マッピング(米国カリフォルニア)
・ 音響調査データの GIS による現存量推定システム(ノルウエー)
・ 音響・環境データの GIS による地理統計的統合解析によるニシンの密度分布推定(北海)


2.低次生産
 本領域における、GIS の利活用および空間解析の現状は、他の領域に比べ事例は少ないが、今後発展
が見込まれる。
 論文事例:
・ プランクトンのバイオマス・分布・群集に関する GIS 解析(北東太平洋)


3.海洋環境
 海洋環境のみを取り扱った事例は少なく、水産資源、輸送、低次生産を組み合わせた研究例が多い。
これまでは、2次元オーバレイ解析が主流であったが、今後は、3次元解析、また数値解析による、定
量的関係の把握や予測に関する基礎研究が進展するだろう。
 論文事例:
・ 海底地形がまぐろはえ縄漁業の釣獲率に与える影響(インド洋キハダ・メバチ)
・ SST と海底地形の間で:生態動態を考察するための空間的技術(米国)
・ 海水温アノマリーと漁獲分布の空間相関に関する GIS 解析(地中海)
・ スコティア海(南極)における南極オキアミの環境変動解析(日本)
・ 小型浮魚生息域と海洋環境の時空間的相関関係に関する研究(マラッカ海峡)
・ GIS によるマサバ漁場の動態と海洋環境の空間的相関関係に関する研究(チリ)


4.水産資源
4.1 分布
 水産生物の分布・密度の2次元表示は、GIS 解析の基礎であるため、長年種々のソフトウエアで日常
的に描かれてきた。現在、水産海洋情報の効果的な3次元表示が開発途上であり、近い将来、3D-GIS
が日常的に使用されるようになるだろう。
 米国では 1996 年に水産資源保全管理法が改正され、水産生物の基本的生息域(Essential Fish
Habitat:EFH)のマッピングが進んできた。水産生物の生活史・季節別の分布図作成することで水産資
源漁業管理のための基礎知見を得たり、EFH が脅かされている海域を特定し、対応が手遅れにならな
いようにするのが目的である。水産生物の密度分布と海洋環境情報を用い GIS による HSI(Habitat
Suitability Index:生息域適性指標)に関する研究事例も報告されつつある。
 論文事例:
・ マコガレイの空間的分布に関する調査:地理統計学的アプローチ(ドイツ)
・ 海洋版 GIS による排他的経済水域における水産資源分布図(マレーシア)


                                                   IV-2
・ アカボウクジラとマッコウクジラの分布特性(米国ボストン沖)
・ 小型浮魚生残に必要な環境要因の地図化(カリフォルニア沖)
・ アフリカヤリイカの分布に関する時空間解析(南アフリカ)


4.2 数値解析・モデル
 水産海洋情報は、海域により異質なため、空間を考慮した水産資源評価モデルの必要性が広く認識さ
れてきている。試験段階であるが、GIS を基盤としたプロダクションモデル、年齢組成モデルが開発さ
れつつある。さらに、GIS と空間統計手法を組み合わせた密度推定・豊度推定に関する研究が、2002
年の第二回シンポジウムでは飛躍的に増加した。
 論文事例:
・ GIS を用いた非ユークリッド場における資源量推定(米国メリーランド州)
・ 空間的相関のある情報に対する地理統計学的 t-テスト(太平洋オヒョウ)
・ 生態系漁業管理のための GIS と数学的プログラミングによるアプローチ(米国)
・ GIS を基盤にした年齢組成資源評価モデル(南アフリカ)
・ GIS をプラットフォームにした余剰生産モデル:底魚資源の空間的評価(伊)
・ 水産資源の空間的変動のモデル化とヴァリオグラム解析(米国)
・ GIS によるサンプリング計画の最適条件決定(米国メイン州ウニ資源調査)
・ ミナミマグロ加入量変動の GIS による空間解析(日本)


4.3 混獲管理
 GIS で混獲生物の時空間分布を把握し、混獲生物の生息する海域での操業を避けることで混獲緩和対
策を実施する国や漁業機関が増加している。特に管理の厳しい北米で活用が多い。混獲種・漁獲対象種
の平均的状況における情報による活用が主流だが、環境変動による分布変動も考慮した手法も進展中で
ある。
 論文事例:
・ 底はえ縄船で混獲される海鳥の GIS による混獲緩和技術開発(北太平洋)
・ 混獲緩和解析ツールとしての GIS(米国アラスカ州)
・ 底魚漁業対象魚種の漁獲を高め混獲緩和するための GIS による技術開発(米)


4.4 漁業管理
 漁業管理分野では、行政において GIS の利・活用が最近年活発化しており、特に漁獲努力量・漁船
モニタリングでの応用が多い。VMS/GPS と GIS をリンクさせた漁船監視システムが開発途上にある。
電子ログと GIS による新たな漁業情報収集システムが欧米で開発段階にある。混獲、漁船経営、経済要
因、最適漁獲を総合的に考慮した GIS による生態系管理手法の開発が米国で進展している。
 論文事例:
・ GIS よる禁漁海域決定戦略および生態系漁業管理(ニューイングランド沖)


                                                IV-3
・ メルルーサ・トロール漁船分布の時空間変動に関する GIS 解析(ナムビア)
・ 海洋漁業の実態とそれに依存する沿岸域経済状況の包括的マッピング(豪州)
・ スクーナー漁業の漁獲努力量の GIS による空間的分布(セーシェル)
・ GIS による甲殻類トロール船モニター・システム(ポルトガル)
・ 地中海西部における商業漁業対象種の漁場地図製作(イタリア)


5.輸送
 対象水産生物の動きの時空間(特に水深)スケールに直接対応した環境情報(流れ、水温ほか)を用
いた 3D-GIS 解析が進展中である。
 論文事例:
・ GIS による回遊魚の熱代謝 Cost-Path モデリング(米国:大西洋さけ類)
・ 記録型標識データと海洋環境データの GIS による統合的解析(マンタの事例)
・ 水産生物の動きに関する GIS 解析および地理統計学的解析(米国アラスカ州)


6.海洋生態系
 海洋生態系領域では、複数領域における多種多様な情報の相互作用に関するオーバレイによる定性的
解析が多かったが、最近はその結果を基にした数値解析や空間的なシミュレーションに関する研究も増
      水産生物の資源量シミュレーションに使われる ECOPATH/ECOSIM は点推定であるが、
えてきている。
それを空間に拡張した GIS/ECOSPACE による空間的なシミュレーションも開発途上にある。今後は、
海洋生態管理手法として、行政でも重要なツールとなるだろう。
 論文事例:
・ GIS による北太平洋のサケ生態系プロジェクト(米国)
・ メキシコ湾生態系の研究:漁業管理のための GIS 技術の応用(メキシコ・加)
・ RS/GIS によるベンゲラ生態系の研究(フランス・南アフリカ)
・ SOMBASE:生物の多様性と生態に関する GIS による地理学的解析(英国)
・ 東南アジアの危機に瀕したサンゴ礁:被害状況 GIS マッピング事業(SEAFDEC)
・ 小型浮魚類分布とエル・ニーニョとの相互関係(インドネシア)


7.漁海況
 漁海況領域は、水産海洋分野全領域の出口として総合的な空間解析が基礎となるため、多くのパラメ
ータを組み込み GIS の特性を十分活かした技術が進展中である。
 論文事例:
・ GIS による漁海況予測システム(黒海)
・ リモートセンシングと GIS による漁場予測技術の開発(チリ)


(出所)http://www.esl.co.jp/Sympo/gekkan_kaiyo/index.htm


                                                        IV-4
V. 「空間情報活用型自律汎用プラットフォームの研究開発」のマリン分野へ
  の適用


1.空間情報活用型自律汎用プラットフォームの研究開発

                         (注1)で「札幌 IT カロッツエリア
 北海道では、文部科学省の「知的クラスター創成事業」

  (注2)を進めている。うち応用研究開発プロジェクトとして、北海道東海大グループは、
構想」

「空間情報活用型自律汎用プラットフォームの研究開発」を進めてきた。

      (1)温度、湿度、圧力、超音波、画像などのさまざまなセンサに通信機能
 具体的には、

                       (2)センサムバコンから伝送された
をつけたモジュール(センサムバコン)を開発する、

情報を無線 LAN や携帯電話網などで受け取るシステム(コントロールムバコン)をオー

          (
プンソースで開発する、 3)その情報をインターネット経由で活用する――というものだ。

ムバコンとは Movable-Computer の略称で、屋外移動型コンピュータをこう呼んでいる。

 センサムバコンは、必要な機能を自在に追加・拡張できるプラグ&プレイ対応となって

おり、簡単に安く、多様な分野に応用することができる。たとえば、センサムバコンに温

度計を取り付け、ビニールハウス内の温度をインターネット経由で監視したり、それを見

て、インターネット経由で換気扇を廻したりするシステムを簡単につくれる。仮に、湿度

も必要となれば、湿度センサを付加すればすぐに可能となる。

 平成 14 年度と 15 年度には、センサムバコン(後に「μCube(マイクロキューブ)」と

名づけた)(注3)とコントロールムバコンの開発、および WebGIS サーバの構築を行っ

た。上述のように、このシステムは、多様な分野に活用することができるが、北海道の主

要産業である第一次産業に資することが望ましいのではないかということになり、またメ

ンバーに漁船・漁具機器メーカーなどが含まれていたこともあり、漁業分野にターゲットを

絞ることにした(マリンムバコンと呼んでいる)。



2.科学的資源管理型漁業に向けた3次元海洋 GIS 構築

 北海道は、全国の4分の1の漁獲高を誇る日本の重要な漁業基地である(別添2)。日本

では、これまでも、資源管理型漁業が行われてきたが、禁漁区域や禁漁期間の設定など、

経験に基づくものが中心であった。マリンムバコンにより、北海道において、科学的手法

による資源管理型漁業モデルの実現を目指す。




                                              V-1
2.1   具体的な利用分野

 具体的には、衛星リモートセンシングによる表層情報に加え、センサムバコンを用いた

実測により中層、下層の海洋情報(海底の地形、水温、塩分濃度、プランクトン分布、海

流情報など)を取得する。リアルタイムな情報に加え、過去データとの比較や予測を取り

入れることにより、漁場の選定、養殖作業の時期決定などの的確性を高め、漁業の生産性

向上と資源保護を実現する。

 なお、ムバコンによる実測にあたっては、マリンネットワーク(漁船や定置網、養殖施

設、往航する船舶など既存の洋上設備を観測ステーションとして活用する。不足する場合

には、自走船ムバコンが補完する)を構築する。



 平成 16 年には、次の2つの実用化を考え、実証実験を実施した(注4)。

 (1)3次元海底地形図作成システムの開発

      ・沿岸部の詳細な地形図を作成可能にする技術

      ・魚群探知機のように漁船に標準的に搭載されている装置をセンサとして活用

 (2)海洋情報定点観測システムの開発

      ・海中の水温等を定点観測するシステムの検討

      ・安価で漁業者が手軽に利用可能な観測技術


            H 14~H 15                         H 16
研究開発 1 研究開発内容の検討
      .
       .
      2 センサムバコンの仕様検討と開発
       . ント
      3 コ ロールムバコンの仕様検討と開発
       .      Sサーバ構築
      4 W ebG I

            →  ン分野ほか
シーズの応用分野の検討  マリ

                                   ト            ト     μC
                            ①センサーネッ ワークのための汎用プラッ フォーム( ube)の開発

                            ②応用分野の具体化と実証実験
                              . 次元海底地形図作成システム
                             13
                                            、               タ 接続し
                              ●μC ubeを漁船に搭載し 魚群探知機及びG P Sプロッ ーと  、
                              リアルタ  イムでの三次元海底地形図を作成

                              ●精密測量により作成した海底地形図と         、
                                                の精度評価を実施し 漁業
                                      し
                              用の海底地形図と て十分な精度を有し    と
                                                ているこ を検証
                              .
                             2 海洋情報定点観測システム
                                         、
                              ●定点観測ブイを試作し 観測を試みた
                              ●ケースの耐水性の問題等観測前の課題が山積み
                              .
                             3 倉庫内温度監視ムバコンシステム




                                                                     V-2
2.2    科学的手法の必要性

 実証実験を実施したシステムは、漁業にとって次のようなメリットがある。


システム                            リ ト
                        システム活用のメ ッ

        3            、
         次元海底地形図があると 網を降ろす位置を決めやすい(海底に山があるとそれに沿ってプ
       ・
        ランクト       、            る)
            ンの流れが生じ それを追って魚もやってく 。

3次元海 ・底曳網漁のよう             3
             に海底に網を這わせる場合、 次元海底地形図があると 漁をし     、
                                           やすいし 網の
底地形   破損も防げる。
図作成シ
      現在、漁業関係者が使っている海底地形図は、 海上保安庁作成のものだが、 航海のためのも
ステム ・
                、
      ので等高線のみであり 漁業者は経験などにより 頭で修正をして使っている。

                         、
        海底地形図に加え底質情報が分かると 産卵や稚魚の育成に重要な藻場の保護管理ができ
       ・
        る。

        ホタ    めと
          テをはじ する養殖では、海水温の多層的な温度変化が斃死に大きく影響するため、3
       ・
        次元的な海水温の監視ニーズが高い。

        ホタテ養殖カゴは、波浪により海中で大きく上下運動するため、養殖カゴの位置変化をリアルタ
       ・
        イムで把握し   いう
              たいと ニーズがある。
海洋情   衛星を使って水温を提供するサービスは提供さ        こ         、
                             れているが、 れは表面温度であり 海中の温
報定点 ・度は分からない。
観測シス
テム
      養殖では、 斃死や貝毒などによる被害がし ばしば起こるが、現状では、その要因を解明できて
          3      Sの構築により 発生のメ
     ・いない。 次元海洋G I      、              と
                             カニズムを解明するこ ができれば、被害を減
         と
      らすこ につながる。

            Sにより
        海洋G I           をD   、
                集められたデータ B 化し エキスパートシステムを開発すれば、後継者の育
       ・
        成に役立つ。




2.3    今後の開発項目

  システム                      必要な開発事項

             携帯電話対応( 現在は無線LA N をデータ通信に使っているが、モバイル環境で
μC ube(センサム ・利用できると 用途が大きく
                   、      広がる)
バコ ン)
            ・ワンチップ化による特定システムへの実用性の向上
          3次元地形図のリアルタイム表示(データ            Sのシステム開
                             通信の改善やW ebG I
3次元海底地形図 ・発によって画像化速度を速めるなどが必要)
作成システム
         ・底質情報の取得、分類、表示
           ・耐水性の向上
           ・省電力化への改善(漁業者が電池交換し        ティ
                              やすいユーザビリ も重要)
            現在は水温だけに対応しているが、塩分濃度、溶存酸素濃度、潮流など各種セ
海洋情報定点観    ・
            ンサへの対応
測システム
           ・衛星画像(表面水温、     と
                      天気など) の連携
           ・D B を活用したエキスパートシステムの開発
           ・流体解析による温度と斃死などの因果関係分析



                                                       V-3
 実証実験により、3次元海底地形図作成システムについては、十分に実用化が可能であ

ることが分かったものの、実験によって得られた新たなニーズ(底質情報など)に対応する

必要性や、機能の高度化、ファイン化が残された課題となった。一方、海洋情報定点観測

システムは、耐水ケースの開発や電源、通信方法の改善なども含め、実用化に向けた課題

が山積みという状況である。



3.事業化の可能性の検討

 これらのシステムについては、実証実験などによる漁業者との意見交換のなかで、高い

ニーズがあることが把握されたが、実用化された場合の市場規模はどの程度であろうか。

競合製品・サービスに対する優位性はあるのだろうか。また、どのような事業化の可能性

が考えられるであろうか。以下、概算しておこう。



3.1   次世代魚群探知機

 3次元海底地形図に加え、底質マップ、気象情報などの漁業情報をリアルタイムに表示

するシステムをここでは「次世代魚群探知機」と呼ぶことにする。ビジネスモデルとして

は、(1)次世代魚群探知機そのものを販売するケース、(2)次世代魚群探知機により得

られた海底地形図と底質マップをデータカードとして単体で販売するケースの両面戦略が

取れると思われる。



3.2 海洋情報定点観測システム

                          (1)
 海洋情報定点観測システムのビジネスモデルについては、  観測ブイとコントロール

                                     、
ムバコンを含むシステムとして販売する方法(漁業者自らがデータを収集、予測) (2)

契約先の観測ブイからの情報を集約・加工し、情報サービスとして提供していく方法の2

つがあると思われる。



3.3   中小企業に向いているビジネス

 以上概算したように、この2つのシステムを実用化した場合、総てを合計しても 2000

億円程度の市場規模である。漁業全体も縮小傾向にあるため、輸出が伸びる以外には、飛

躍的に市場が拡大する可能性も少ない。しかしこのことは、ビジネスとして考えた場合、

必ずしも悲観すべきことではない。むしろ大企業が参入しにくく、特徴ある中小企業が活


                                        V-4
躍しやすい分野といえる。市場規模が小さく多くの競合が現れないため、市場を開拓した

企業が大きなシェアを得て市場をリードしやすい。



                        全国経営体階層別統計
                                                           漁    船
                                      漁  業
経    営          体           階     層               無動力船     船外機付船       動 力 船        計
                                      経営体数
                                                  隻  数     隻   数       隻   数

                                        経営体            隻         隻           隻           隻
                計                     132 417      7 688    91 195     114 926     213 809

 漁    船         非       使        用      3 883          -           -           1

     無    動     力   船       の    み          198      204           -           -         204

 漁        1     T           未    満     30   951      532    33   815     4   521    38   868
     動    1             ~         3    22   252      385     6   153    22   740    29   278
          3             ~         5    29   009      538     8   802    29   941    39   281
          5             ~        10    10   494      167     3   530    13   749    17   446
 船   力    10            ~        20     4   604       81     1   436     6   973     8   490

          20            ~        30         659       15         228     1 832       2 075
     船    30            ~        50         538       14         189     1 713       1 916
 使        50            ~       100         456       26         100     1 363       1 489
          100           ~       200         313        3          56       925         984
     使    200           ~       500         197       14          22       528         564

 用        500       ~  1, 000             108          4          20         383       407
     用    1, 000     ~ 3, 000             103          1           4         546       551
          3, 000    T 以 上                   7          -           5          81        86
          3 T       以 上 計              46 488                                       73 298

 大    型         定       置        網        489        302       426       1 506       2 234
 さ    け         定       置        網        479         37       679         602       1 318
 小    型         定       置        網      4 458        423     4 197       4 512       9 132
 地        び         き            網        151         77       161          73         311

 沿   岸    漁         業       層    計    125 432      7 530    89 135     100 582     197 247
       海 面   養 殖                       23 068      4 865    31 372      22 937      59 174
     上記以外の 沿岸漁業層                      102 364      2 665    57 763      77 645     138 073

 中   小  漁 業  層                   計      6 875        157     2 051      13 717      15 925
 大   規 模 漁 業 層                   計        110          1         9         627         637

 (出所)農林水産省『漁業センサス』2003




                                                                                               V-5
 一方で、このシステムを実用化するにあたっては、すでに見たように、まだまだ研究開

発すべき項目が残っている。漁業者の強いニーズはあるし、日本には、他産業で培われた

さまざまなハイテクが揃っているのだが、それを漁業に適した使いやすく、適切な価格の

製品・サービスにまでまとめあげる仕組みがない。力のある企業は、もっと市場規模が大

きい、あるいは成長性のある分野に注力するし、中小企業は、独自に開発するだけの余力

がないからだ。このため、知的クラスター創成事業のような形で中小企業の研究開発を支

援し、それが中小企業分野である漁業を支援する製品やサービスに結実していくことは、

非常に有意義と思われる。




4.μCube を核とした多様なビジネス展開

 この研究開発自体は、「空間情報活用型自律汎用プラットフォームの研究開発」であり、そ

こから誕生した「μCube」の用途は、マリン分野に留まらない。μCube は、センサインター

フェースとネットワークインターフェースを持ち、必要なセンサを組み込むことができるので、

さまざまな用途に対応することが可能である。

 たとえば、平成 16 年度には、企業からの呼びかけがあり、倉庫内温度・湿度監視の実証実験

も行ったが、システムとして十分実用化可能との結果を得た。今後、食品のトレーサビリティ

の重要性が増すなか、情報管理型の保管・流通業にも活用することが考えられる。

 また、農業では、農薬、肥料、水などを必要以上に投入しない精密農業化が進められている。

地形データや衛星からの情報に、μCube で収集したリアルタイムデータを加え、農場全

体の成育状況、農薬散布が必要となる温度状況等を把握し、成育の悪いエリアのみに施肥・

水遣りをする、あるいは適量の農薬散布を行うといった使い方も考えられる。

 ただし、μCube をさまざまな用途に応用するにあたっては、それぞれの分野の専門家

や企業と組んで実用化のための研究が必要である。たとえば、用途に応じたケース(容器)

の開発やワンチップ化が求められる可能性がある。また、それぞれの用途ごとにエキスパ

ートシステム(ホタテ養殖を例にとると、水温が何度になったら危険であるとか、どうい

う予兆があったら水温が上がるかといったような知識)が必要である。さらに、欲しい情

報によっては、センサの小型化や低価格化に取り組まなければならないだろう。いずれに

しても、μCube がさまざまな分野で活用されることを期待したい。




                                            V-6

				
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