Siem Reap Study Tour II by djh75337

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									 JICA(国際協力機構)のシニア海外ボランティアとしてカンボジアに派遣されている川口博行さん  (山
口県キャンプ協会)の、第 2 回レポートです。川口さんは、2 年間にわたって教育省スポーツ青少年局で青
少年キャンプの企画運営にあたられることになっています。
 今回のレポートは、川口さんが着任後 2 度目に参加されたスタディツアーの様子です。今回のツアーは中
高生対象のものです。川口さんはその様子を視察したうえで、スタディツアーやユースキャンプの企画・指
導だけでなく、カンボジアの青少年教育のための体験プログラムの開発全般にあたられます。




                Siem Reap Study Tour II
                     川口 博行(山口県キャンプ協会副会長)


1 日目                                       今回も 「月曜日は Pineak がいっしょに行くから、
 9 月 28 日、 いよいよ第 2 回のスタディ ・ ツアー           彼と連絡を取って時間を決めてくれ」 と Som 氏に
が始まる。 カンボジアの予算システムはよくわから                  言われたのだが、 「ピー ネアック」 というのはクメ
ないが、 7 月と 8 月に予定されていたスタディ ・ ツ             ール語で 「二人」 という意味なので、「二人で行く」
アーは予算がないために実施できなかったので、                    ということなのか、 「ピーネアック氏」 と行くというこ
今回が今年度最後のスタディ ・ ツアーになるという                 となのか、 非常にあいまいで何度も確認が必要だ
ことだろう。                                    ったのだ。
 朝 8 時 30 分のバスでシムリアップに向かうという
ことで、 同行する Pineak 氏とキャピタル ・ ツアー             混雑しているバスターミナルでキョロキョロしてい
のバス停で 8 時に待ち合わせることになった。 カ                 ると、 見たことのある顔が目に付いた。 背の高い
ンボジアに来て半年経ち、 前回とは違ってトゥック・                 すらりとしたこの青年が Pineak 氏らしい。 手をあ
トゥックでバス停まで行けるようになった。 これもひ                 げて合図をすると、 向こうが気づいてくれて無事
とつの成果かもしれない。 チケットは Pineak 氏が              合流。 バス ・ チケットももらって安心していると、
事前に買ってくれているので、 彼と合流することが                  目の前に 「シムリアップ行き 8 時 30 分」 と書か
最大の課題なのだが、 人混みの中うまく見つけら                   れたバスが着いた。 だが 「このバスではない」 と
れるだろうか。                                   Pineak 氏は言う。 乗客が多いので同時刻にバス
 というのも、 日ごろ職場ではデイレクターの部屋                  が 2 台出るらしい。 クメール語しか通じないこのバ
に Som 氏と二人きりだし、 彼は忙しくて部屋を空                スターミナルでは、 英語が話せる Pineak 氏を全
けていることが多いので、 一人きりで過ごすこと                   面的に頼るしかない。
が多く、 青少年局の職員といっても名前と顔が一                    シムリアップへ行くのに外国人観光客がよく使う
致しないのだ。 しかも、 カンボジア人の名前とい                  Mekong Express というバスならば英語を話せるガ
うのは本当に聞き取りにくい。 青少年局のデイレ                   イドが乗っているのだが、チッケトに 11 ドルかかる。
クターである Som 氏の名前は Som Savoeun、 ユ           一方、 このバスは 5 ドルなので、 地元の人たちは
ース ・ センター局のデイレクターの名前は Heng                ほとんどキャピタル ・ ツアーのバスを使う。 プノン
Chantha、 総 局 長 の 名 前 は Heng Sokkim。 ど こ   ペンからシムリアップまで約 6 時間。 途中 2 回のト
までが名前でどこからが名字なのかもハッキリしな                   イレ休憩があり、 その間に遅い朝食や早い昼食を
い。 ある時、 総局長は冗談で 「私の名字はキム                  とったりするので、 とても時間がかかる。 今回はプ
だから、 外国に行くと北朝鮮のキム総書記と親戚                   ノンペンを 8 時 30 分に出て、 シムリアップに着い
だと言ってやるのだ」 と言ったことがある。 そうす                 たのは 3 時 30 分を過ぎていた。 やっとの思いで
ると、 本当は Heng Sok Kim が正しい名前なのか            ユース ・ センターに着いた時には、 さすが安堵感
もしれない。                                    があった。
 スタッフとあいさつして日程を聞いたら、 小さな       ように思えたが、 今回は中高生なので内容も適当
冊子を渡してくれた。 プログラムの概要、 日程の       だと感じた。 しかし、 今回の子どもたちは私語は
ほかに、 日記、 同じ班のメンバーの連絡先が記        するし、 せっかく開催要項を準備してもらったの
入できるようになっている。 すばらしい改善だ。        に、 メモをとる子どもも少ないのが残念だ。 そん
 到着してまもなく、 Som 氏から電話があった。 内    なことを思いながら子どもたちの周囲をゆっくり歩
容は、 前回のスタディ ・ ツアーを記録した CD を    いていると、 少し離れたところに一人の地元の少
忘れず持っていったかの確認、 記録担当の Bona      年が立っているのに気が付いた。 汚れた服と傷ん
氏にデジカメを貸してやってほしいとの依頼、 私        だ靴、 年齢は 15 ~ 6 歳だろうか。 周囲を気にし
が作成したメモによって改善点を指示したので改         ながらも、 一生懸命にアプサラ機構の専門家の話
善されているかどうか確認してほしいといったことだ       を聞いている。 その真剣なまなざしは、 参加者と
った。 そして、 「帰ったら今回の印象をまた聞か       はまるっきり違って見える。 真剣そのものだ。 参
せてほしい」 と言われた。 前回に指摘した改善点       加者は着ているものも立派だし、 女の子は立派な
が活かされていると聞いて、 うれしさがこみ上げて       アクセサリーも着けている。 休憩時間には、 ユー
くる。                            ス ・ センター前に集まっている物売りや屋台に行
                               って食べ物を買ったり、 おみやげを買ったりもして
                               いる。 恵まれた家庭に育っている参加者の子ども
                               たちには、 この少年のような真剣さはない。 きっ
                               とこの子は学校にも行っていないのだろう。 カンボ
                               ジアの子どもたちがおかれている実態を垣間見る
                               思がした。




2 日目
 翌朝、 Som 氏の指示どおりに Bona 氏にデジカ
メを渡したのだが、 まもなくバッテリー切れだと言
ってきた。 スイッチを入れ放しで動画を撮っていた
らしい。 急きょ、 カメラ屋を探すために町に出た。
バッテリーを買い、 面倒でもこまめにスイッチを切        午後は、 ジェネラル ・ ディレクターの講義。 「な
ることと動画はバッテリーを消耗するので写真を主        ぜ勉強するのか」「ここで何を学ぶのか」がテーマ。
にするように言って、 Bona 氏にバッテリーを渡し     今回参加した子どもたちは明るく、 積極性がある。
た。                             ジェネラル ・ ディレクターの質問にどんどん答える
 今日は、 アプサラ機構の専門家からカンボジア        し、 競って手をあげて質問をする。 さすがに各州
の歴史とアンコールワット遺跡群の解説を聞くのだ        の学校から推薦された子どもたちである。 機転は
が、 仮設テント内ではなくて大きな木の下に集ま        利くし、 どうすれば指導者が喜ぶのかをよく知って
っての青空教室だ。 雰囲気はすばらしいし、 解        いる。
説者と子どもたちとの距離が近くて非常によい。 だ        この日は、 ジェネラル ・ ディレクターの到着が遅
が、 明るすぎてせっかくのプロジェクターの映像が       れたために、 予定されていた芸術学校の子どもた
よく見えない。                        ちの民族舞踊の見学は、 翌日に延期されることに
 前回は小学生だったので内容が少し難しすぎた         なった。
3 日目                           すべて自己責任なのだろう。 結局、 予定通り遺
 翌朝は、 朝の体操をして国旗掲揚をするので、        跡の見学を終えた。
5 時 30 分に行事が始まるという。 「朝の集いをし     ユース ・ センターに帰るとすぐに話し合いが始ま
た方がいいのではないか」 というのは前回の反省        った。 遺跡見学の感想を話しているのかと思った
点のひとつだが、 それにしても 5 時 30 分は早い。   が、 実は課題別に話しているということが、 後に
 5 時には起きて、 宿舎を出てユース ・ センター     なってわかった。
に向かおうとしたのだが、 昨夜から降り出した雨の
ために道に水があふれて、 まるで川のようだ。 夜        この夜は、 延期された芸術学校の伝統舞踊の見
が明けきれていない時間に、 宿舎からユース ・ セ      学。 今回は中高生だけあって、 伝統舞踊で男性
ンターまで、 川の中を歩いていくことになってしま       が女性の気を引こうとする姿や仕草に敏感に反応
った。                            して拍手や笑い声がでる。 舞台も観客も同年齢の
 センターに着いてみると、 朝の体操は中止だと        子どもたちだから、 舞台の子どもたちもときおり役
いう。 それは仕方ないだろうと納得。 だが、 宿舎      柄を忘れて笑顔で応える。 外の雨を吹き飛ばす
からの道の状況から、 子どもたちがセンターにや        かのような盛り上がりである。
ってくるのも大変だろうと思う。


 この日は遺跡ツアーに出かける予定だったので、
すでにマイクロバスが 1 台到着していた。 このバ
スの 1 台が、 宿舎とユース ・ センターの間をピスト
ン輸送するようだ。
 朝食が終わっても雨は止みそうにない。 それで
もバイヨアン、 バクーン、 バンティ ・ クデイの遺跡
を見に行くという。 あるスタッフは 「雨がひどくなれ
ば、 滑りやすいので、 遺跡はバスの中から見るだ
けにする」 と言っていたのだが、 いざバイヨアンに
着くと全員がバスを降りて遺跡に入り始めた。 予
定どおりに見学するようだ。                  4 日目
 バイヨン遺跡に入ったらすぐに垂直に近い階段          翌朝は小降りになったが、 雨は続いている。 そ
を上るのだが、 雨の中でもお構いなく上っていく。       んな中、 今日も遺跡見学である。 今日はアンコ
カンボジアの子どもたちは、 スリッパのようなサン       ールワット。 私は前回、 よく見ることができなかっ
ダルのような履き物を履いているので危なっかしく        た回廊部分を中心に見学。 本当にすばらしいレリ
てたまらなく思えるが、 スタッフはお構いなしだ。       ーフである。 午後は昨日に続いて話し合いが持た
                               れ、 その後、 各班からのプレゼンテーションが始
                               まった。
                                班ごとに 「ユース ・ カウンシル (青年協議会)
                               を発展させるためには」 「スリー ・ グット ・ ムーブメ
                               ント (よい子、 よい生徒、 よい友だちの運動) の
                               進め方」 「自然保護の進め方」 「文化遺産をどうま
                               もるか」 といったテーマが与えられていたらしい。
                               すばらしい発表内容である。
                                夕食後に閉会式。 子どもたちがいすに座って雑
                               談をしながら待っている間、 一人の女の子が一生
                               懸命に雨にぬれた床を掃いている。 声をかけると
「どこにでも紙くずを捨てるのが、 カンボジア人の     には慣れているのだろうと思っていたが、 本当は
いけないところだ」 と言う。 「カンボジアのいい習    大変だったのだと今ごろになって気づいた。
慣は残して、 悪い習慣は君たちが変えていかなけ       しかし、 バスは水の中をものともせずに走る。 タ
ればね」 と言うと、 にっこり笑って応えてくれた。    イヤの 3 分の 1 は水の中だろう。 それでも約 1 時
                             間出発が遅れただけで、 プノンペン行きのバスは
                             出発した。 途中の道路は大丈夫なのだろうかと心
                             配だったが、 シムリアップの市街地を外れるともう
                             すでに道路に水は見られなかった。 「洪水の中、
                             よくもまあ無事に終わったものだ」、 それが最終的
                             な感想である。




5 日目
 無事に行事が終わり、 翌朝、 いざバスで帰ろ
うとしたのだが、 町中が水浸しの状態になってい
た。 町の中心部を流れる川があふれて、 市街地
は 30cm 以上の水があふれている。 話によると死
者も出ているのだという。 雨期に水があふれるの

								
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