2005年度 卒業論文 by domainlawyer

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									2005 年度

卒業論文

地方銀行の進む道

大東文化大学 経営学部 企業システム学科 今井麻子

目次
第1章 地方銀行とは 第1節 第2節 第3節 地方銀行の概念と役割 地方銀行の性格 地方銀行の経営の特色

第2章 総合金融サービスを展開する都市銀行と地方銀行の比較 第1節 第2節 第3節 金融界再編の動きとその背景 総合金融サービスについて 都市銀行と地方銀行の違い

第3章 地域金融機関のサービス展開の行方と今後のあり方

第1章 地方銀行とは 第1節 地方銀行の概念と役割 一般に、一国の金融の枠組みを金融制度というが、地方銀行が我が国の金融制度上、ど のように概念づけられ、どのような役割を果たしてきたかは、時代によって異なり、一口 に定義づけることはできない。戦前期でも、その揺籃期と地方的集中期、戦時統制期とで は異なっている。ただ地方銀行に地方と冠してあるとおり、地方銀行は地域の経済的要因 に経営行動を規定されながら、それぞれ地域の資金循環機能を果たしてきたという点では 共通している。ここで地方とは全国に対する地方であり、営業の地域性のことである。い ずれにせよ、地域経済の産業構造に対応して資金の地域的な流通を円滑に進める資金仲介 の役割を果たすと同時に、こうした金融機能を通じて、地域の産業構造の変化・抑制・促 進に影響を与えてきたということができる。我が国の普通銀行を、都市銀行と普通銀行の 2つの業態に分ける金融慣行は、すでに長い歴史を有している。それがほぼ明確な形で地 方銀行という概念で括られるのは、1936年9月の全国地方銀行協会の発足であった。 東西シンジゲート銀行団加盟行以外の普通銀行に呼びかけられ、当該銀行434行のうち 272行がこれに加盟した。その後加盟行数は新規加盟と退会で増減を重ねるが、42年 の金融統制団体令の施行により、地方銀行は地方銀行統制会に強制的に加入することにな った。同統制会発足時の地方銀行は161行である。この時、地方銀行協会に加盟してい た日本昼夜銀行、昭和銀行、十五銀行は地方銀行グループを離れ、都市銀行のグループで ある普通銀行統制会に所属することになる。しかし、これは行政当局の指定によるもので あった。さらに、普通銀行統制会会員に該当しない銀行を地方銀行統制会に統一した。よ って地方銀行は普通銀行でありながら普通銀行統制会の会員でないものとされたのである。 これによって、普通銀行の中での業態別としての地方銀行という概念が、金融制度上、間 接的に法規によって規定されたものである。地方銀行統制会の規定のなかには、「地方普 通銀行」 という造語もしばしば登場する。 業態別という言葉は金融界独特のものであるが、 これがその後、金融機関を種類別に区分するときの慣用語となり、地方銀行を金融界の1 つの業態と捉えることになる。以上のことから、同じ普通銀行のなかでも都市銀行と地方 銀行が異なった性格を持つ普通銀行であることが形式上明示されたといえる。「金融制度 と地方銀行」という場合、金融当局がいかなる位置づけをしていたのか、いかなる役割を 期待していたのか必ずしも明らかではない。公式に、地方銀行が制度上に位置づけられた

のは、金融統制団体令における業態別の説明と、1968年10月より開始された金融制 度調査会の第1分科会である。 「普通銀行の諸問題」の審議において、地方銀行の概念が 説明されたときの2回であった。つまり、金融団体統制令が公布された直後、地方銀行統 制会の求めに応じて来会した金融統制の担当官は、地方銀行という業態を設定した理由に ついて次のような要旨の説明をしている。「今回、金融統制団体を組織するについて、業 態別統制会をどのような金融事業に区分するかはかなり問題であった。特に同じ銀行法に 基づく普通銀行を、なぜ都市の大銀行と地方銀行とに分けるのかについては議論があった。 しかし、結局大銀行と地方銀行では金繰りの状況が全く異なっている。つまり、事業の種 類は同じだが、業務の態様や実情、すなわち業態が違う。これに対する指導統制は異なら なくてはならない。そのため別個の統制会を設けることにした。その意味において、地方 銀行業務の特殊性と、地方銀行の独特の地位というものが公認されたといえる。」ここに ある地方銀行独特の地位こそ金融制度上の地方銀行の役割ということができる。戦時下で あるので、地方銀行統制会における地方銀行の役割は、預金吸収と軍需金融の間接的供給 者という普通銀行としては極めて歪められた形ではあったが、軍需金融に専念した都市銀 行とは異なった役割を担ったのである。

第2節 地方銀行の性格 (1) 金融界における地位 地方銀行の資金量は平成6年3月末の計数で、預金164兆円、貸出金129兆円で、民 間金融機関におけるシェアは預貸金とも約2割と、都市銀行に次いで第2位の地位を占め ている。また、地域別 のシェアでみると、各都道府県別では、都市銀行の本店所在地およ びその周辺の8都道府県(北海道、埻玉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫)を除 く39県で地方銀行が第1位のシェアを占めている。 このように地方銀行の規模は、都市 銀行に次いで第2位であるが、地域別にみると大多数の県で第1位にあり、地方銀行が地 域の中枢的金融機関である一方、 地域の信用秩序に対する責任、 地域社会に対する公共性、 社会的共存の理念を要求されることをうかがわせている。 (2) 地縁性の深さ 地方銀行の代表的な性格の一つとして、地縁性の深さがあげられる。地方銀行は、主とし て、本店の所在する都道府県ないしはその周辺を営業基盤としている。このため、地域に すむ人々の預金を集め、地元企業の資金需要に応え、また人的にも地元出身の役職員が多

いなど、その地域を構成する地域住民、地元企業、地方公共団体と深い結びつきを有する ことが特色となっている。これが、地縁性であり、同じ普通銀行でありながら、都市銀行 と大きく異なる点であり、 地方銀行が 「ふるさとを持つ銀行」 といわれるゆえんである。 営 業基盤が地域性を有する地域金融機関としては、地方銀行の他に、第二地方銀行や、信用 金庫、信用組合などの中小企業専門金融機関があげられ、いずれもコミュニティ・バンク を標榜しているが、それらの違いは営業基盤の広狭、地縁性の深浅にある。信用金庫は総 じて市単位のコミュニティ・バンクであり、信用組合は町村単位のコミュニティ・バンク である。地方銀行の場合は県民単位のコミュニティ・バンクであり、隣接県への外延的広 がりをもっていることが経営上の特色といえる。また、第二地方銀行は、現在は地方銀行 と同質化しているといえるが、普通銀行としての歴史の厚さなどからも地域における中核 金融機関は地方銀行ということになる。このように、地方銀行は営業地盤が限定的である ことなどから地域の盛衰とともに運命共同体的な歩みを続けることになるものの、地域の 中核金融機関として地域社会の信頼を得、強固な経営基盤を保持している。

第3節 地方銀行の経営の特色 (1) 健全経営(サウンド・バンキング) 地方銀行の経営の特色として、サウンド・バンキングの経営理念がある。これは、多くの 地方銀行が、明治・大正・昭和の景気変動を生き抜くなかで身につけた伝統といえる。高 度成長期においても、都市銀行が日本銀行の信用等に依存し、貸出金が預金を上回る、い わゆるオーバー・ローン経営をとってきたのに対して、地方銀行は預金の範囲内の資金運 用にとどめるなどサウンド・バンキングの考え方を貫いてきた。 また、経営姿勢について も、地方銀行は単に収益性のみならず、安全性、公共性、流動性、成長性に配意した健全 な営業活動を重視してきた。とりわけ、地域金融機関として、地域の発展が自らの業績に 直接反映するだけに、伝統的に地元企業の育成に配意した営業活動を行っており、長い経 営のなかで培ってきた推進と管理のバランスを保った営業のあり方を含め、健全経営が地 方銀行の経営の特徴といえる。 (2) 地域の稠密な店舗網 地方銀行は、北海道から沖縄までの全国各地で64行が営業しており、本店の大部分は都 道府県所在地にある。(愛知県にはない)支店については、約8割の店舗が本店の所在す る都道府県内にあり、都道府県外は2割程度である。 県内の高い店舗密度と、隣接県の拠

点店舗、そして大都市の独立店舗といった店舗配置が地方銀行の平均的な姿といえる。こ れに対し、都市銀行は広域的な店舗配置をとっている。地方銀行は特定の地域に集中した 店舗網を配することにより、その地域を構成する企業、家計、地方公共団体等と密接な取 引を結ぶことができるのである。 (3) 地方行財政との深いかかわり 地方銀行は地域の総合金融機関として、地方公共団体や地元企業と連携し、地域開発・地 域振興のリード役を果たしている。また、地域開発プロジェクトや各種イベント等につい て必要な資金を応分に負担するとともに、人材を派遣するなど地方行政に深い関わりをも っている。地方行財政との深い関わりとして、地方銀行は指定金融機関としての役割を果 たしている。指定金融機関とは、その地方公共団体との契約に基づき、地方公共団体の公 金の収納・支払いの事務及び公金の保管を行う金融機関であり、公金は最終的には指定金 融機関の預金口座に入る仕組みになっている。この指定金融機関としての業務は、銀行の 社会的責任・公共的使命を果たすうえで、銀行にとって重要な役割を持つとともに、出納 事務が金融機関に移管されることにより事務の合理化が図られるほか、事務の正確化・迅 速化につながること、さらに公金の受払窓口が拡がることなど、地方公共団体における行 政事務の向上と効率化に貢献している。 また、地方銀行と地方公共団体とのかかわりは地 方債の引き受けの面でも密接である。多くの地方公共団体が非公募地方債(縁故債)を発 行しているが、その半分以上は地方銀行が引き受けており、公金を取り扱っている指定金 融機関として総額引き受けているところもある。このように地方財政との強い結びつきが 地方銀行の大きな特徴となっている。以上、地方銀行の経営の特徴について概観してきた が、これらの特徴をふまえ、地方銀行の特性を一言で表現すると、「地域との共生」とい うことができる。

第2章

総合金融サービスを展開する都市銀行と地方銀行の比較

第1節 金融界再編の動きとその背景 金融界再編の目的は、日本の金融市場の活性化を目指して行われたものである。過去の 日本の金融界は国によって手厚く保護されてきた。しかし、欧米先進国が金融自由化に向 かう中で、日本のみが過保護政策を取り続けてきた為に、金融機関そのものが弱体化して しまった。そこで、金融に対する過剰な保護を取りやめ、競争を通じて鍛えなおそうとい

うのが金融界再編の趣旨である。 金融界再編の一歩となるのが、1996年 11 月に橋本元首相が発表した「わが国の金融 システムの改革、2001年東京市場の再生に向けて」である。97年6月には「金融制 度調査会」「証券取引審議会」「保険制度審議会」の金融3審議会が発表した最終報告に おいて、改革の内容とスケジュールが示された。そして、98年4月には外国為替取引が 完全自由化となり、同年6月には金融システム改正法が成立、金融界再編が本格的に始動 した。金融界再編のキーワードは「フリー・フェア・グローバル」(自由で公正かつ世界 に開かれた市場)である。内外の資金を日本の金融市場に呼び込む事が金融界再編の目的 であり、資金運用の選択肢を広げる改革が実施されてきた。銀行・証券・保険などの各業 態間の相互参入が原則自由化されるとともに、従来なかったような金融サービスが登場し てきている。

第2節 総合金融サービスについて 金融界再編から始まる総合金融サービス化によって、様々なサービスが利用者に提供さ れてきている。大まかなサービスとしては、信託業・証券業・カード業・リース業・シン クタンク業などがある。このようなサービスが一人一人の顧客ニーズに答えているのであ る。「総合金融サービス」の誕生によって、消費者には選択肢が広がった事とともに、銀 行間の競争激化・顧客の獲得競争などから、より高度なサービスを望むことが可能となっ ているのである。このように「総合金融サービス」の誕生から消費者には様々なメリット があると考えられる。 しかし、 デメリットも何点か挙げられる。 例えばこの様にサービスが多角化していくと、 消費者にとってはどのようなサービスがあるのか、またそのサービスの内容がどのような ものなのかが理解しづらくなる。また最近多く目に付く「銀行の統合」などは、銀行同士 の様々な社風や方針があるため、混乱を招きやすいとされている。実際、第一勧業銀行・ 富士銀行・日本興業銀行の三行で成り立った「みずほホールディングス」は、形態が不安 定で説立当初から問題が多く、国民に大きな不安感を持たせた。システム的な問題もあっ たが、責任問題が大きく波紋を呼んだことは記憶に新しい。混乱が相次ぐということは、 消費者にとって銀行に対しての信頼感が欠けてしまい、銀行から離れていくことも考えら れる。また、先にも述べたように、銀行間の競争激化から銀行の破綻も考えられる。よっ て消費者は、どこの銀行を利用すればよいのかという重要な問題を抱えることになる。

そこで銀行は様々な手段を使い顧客獲得に励んでいる。インターネット・窓口・訪問勧 誘などが挙げられる。多種多様ではあるが、銀行はこれらの顧客獲得手段によって、信頼 関係を築いているのである。

メリット

デメリット

・時間帯に関係なく利用者の見 ・サービスの概要を知ることに限 たときにサービスの概要を知 インターネット ることが可能。 界がある。 ・名前も知らないサービスがある ため、何を検索すればよいのか わからない。 ・利用者の知りたいサービスに ついて、フェイス・トゥ・フ 窓口 ェイスで解説が出来る。 ・信頼関係が生まれることで顧 客獲得に繋がりやすい。 ・顧客との間で信頼関係が生ま れる。 訪問勧誘 ・誠心誠意が伝わりやすい。 ・ 時間帯によって、顧客との信 頼関係が損なわれる。 ・興味のない顧客には、全く相手 にされない他、立ち話が主とな るため、長話がしづらい。 ・時間に限りがあるため、利用者 が知りたいときに利用できな いケースもありうる。

このことから顧客にとっての理想の会社形態は、銀行自体に大きな格差が無いために、 顧客との信頼関係が鍵を握っていると考えられる。地道な努力から積み重なる信頼関係は 顧客の心を掴み、長い付き合いを作り上げられると考える。

第3節 都市銀行と地方銀行の違い (1)都市銀行 1968年からの金融制度調査会の普通銀行の諸問題の審議において、提出された都市 銀行概念規定は次のようなものである。「一般に、都市銀行とは、普通銀行のうち6大都 市またはそれに準ずる都市を本拠として、全国的にまたは数地方にまたがる広域的営業基

盤を持つ銀行のことで、系譜的には、いわゆる旧財閥系銀行、旧特殊系銀行、旧地方銀行 で業績が拡大したものなどである。」これを簡単に説明すると、都市銀行とは、全国的に 支店網を展開している大規模な銀行のことをさす。地方銀行との法的な違いはなく、最も 違うのは資金量だけである。都市銀行全体の資金量は全金融機関の4分の1に達していて、 国民経済に対する影響力は各種の金融機関の中で、最も大きいとされる。取引先は、企業・ 個人・公共団体など多岐にわたっている。代表的な例としてみずほ銀行・りそな銀行・三 井住友銀行・アイワイバンク銀行などがある。どの機関も主に大企業を中心に顧客を獲得 している。銀行同士の統合がここ最近にきて目立つのも都市銀行が大半である。また都市 銀行は、その莫大な資産を利用して大幅な改革が可能であると考えられる。地方銀行の資 産では大幅な改革はリスクが大きく伴うために実行に移すのが困難である。それだけ都市 銀行の動きは日本の動向を左右するものであると考えられる。 (2)地方銀行 都市銀行と同じように地方銀行も、1968年からの金融制度調査会の普通銀行の諸問 題の審議において、提出された地方銀行概念規定は次のようなものである。「一般に、地 方銀行とは、普通銀行のうち、地方都市を本拠として地域的に限られた営業基盤を持ち、 その地域経済と密接な関係をもっている銀行のことであある。」こちらも簡単に説明する と、地方銀行とは、特定の地域を主たる営業基盤として展開している銀行のことである。 都市銀行と比較すると資金量は尐なく、貸出先も地元の中堅・中小企業が中心となる。先 にも述べたように、都市銀行と比較しても資金は尐なく、大幅な改革はリスクが大きく伴 うために実行するのが困難なのが必至である。 しかし、地元を基盤としているために民間人の顧客獲得には適している。地道な作業が 多くの顧客を生むことに繋がりやすいと考えられる。また、被災時に支援することで信頼 や顧客を獲得しやすい点は、都市銀行と比較しても優れている点である。 都市銀行と地方銀行は、一般に「普通銀行」とも呼ばれている。規模の大きさからする と、都市銀行→地方銀行→第二地方銀行の順であるが、これがそのまま安全性に繋がると は言い切れないのが現状である。地方銀行の中には、むしろ都市銀行よりも健全で安定し た銀行もあることから、都市銀行→地方銀行→第二地方銀行といった区分は「格の違い」 を必ずしも示さない状況になっている。さらに、最近話題となっているインターネット銀 行も、法律上は普通銀行に区分される。

第3章 地域金融機関のサービス展開の行方と今後のあり方 銀行業務の中で本質的なものは固有業務と呼ばれ、預金等の受け入れ、資金の貸付等、 為替取引の3つがある。また、銀行業務には固有業務以外の種々の業務がある。いずれの 業務も情報通信技術の発展に伴いサービス機能が多様化・充実し、国民生活にとって必要 不可欠なものとなっている。 銀行のサービス業務は、一般的には固有業務の追加サービスまたは付随業務として追及 されている業務であり、具体的には、オンラインサービス、隔地者間決済、手形交換、自 動支払い・自動受け取り、代理業務、保護預り業務、両替、証券業務などがある。また、 顧客から金融に関する相談を受けることも近年重要なサービスとなっている。これをふま えた上で地方銀行に目を転じてみると地方銀行は、特定地域内に多数の店舗を展開してお り、地域の企業と強く結びついている。また多くの地方銀行が、地方自治体の指定金融機 関になっている。地方銀行のなかには、都市銀行よりも財務体制が優良なところも尐なく ないし、千葉銀行や横浜銀行のように、営業基盤が重くなるため、都市銀行と激しい競争 を繰り広げているところもある。 現在の金融界では、業態間の垣根がどんどん低くなっている。かつて銀行では、預金、 融資、為替を3大業務と呼んで、ほぼそれに特化した仕事を行ってきた。しかし、現在で は窓口で投資信託や保険などが販売できるようになるなど、以前では想像できない領域ま で携わるようになった。このように、銀行を取り巻く環境が大きく変化するなかで、これ に対応できるビジネスの枠組みや体制をしっかりとつくりあげていけば、新しい飛躍のた めのチャンスが生まれると考える。その一つとして「相対型の間接金融」がある。銀行は もともと、利用者からお金を預かり、必要とする方々にそれを貸し出すことで、経営が成 り立っていた。 このような金融仲介機関が介在する資金の流れが間接金融である。 そして、 企業の経営姿勢や成長性など、ひとつひとつの企業の中身をよく吟味して融資する「相対 型の間接金融」が銀行の伝統的なビジネスとなっていたのである。 現在では、金融マーケットの発達などによって、企業が市場からダイレクトに資金調達 を行う直接金融、あるいはシンジケートローンなどの市場型間接金融が、大手企業を中心 に拡大している。一方、比較的規模の小さな企業に対しては、決算書などの数値をもとに、 企業の信用リスクのスコアリングを行って、銀行がスピーディに融資の可否を決定する方 法も広がってきている。このような流れのなかで、相対型の間接金融の存在意義は薄れて いくと思われがちだが、「ふるさとを持つ銀行」と別名を待つ地方銀行の場合は、相対型

間接金融という伝統的手法によって独自性を出すことが重要であると考える。 平成15年 3 月、金融庁は「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクシ ョンプログラム」を公表した。そのなかでリレーションシップバンキングを、顧客との長 期継続する関係のなかから、借り手企業の経営書の資質や事業の将来性などについての情 報を得て、融資などの金融サービスを実行するビジネスモデル、と定義している。地域金 融の円滑化や地域経済の活性化のためには、地域金融機関の果たす役割が極めて大きいた めに、金融庁は平成14年10月に公表した金融再生プログラムとは別立てで、こうした アクションプログラムを策定したのである。これに対して地方銀行は、短期的な視野では なく、中・長期的は視点で企業を見て、その継続的な関係のなかで、融資や経営支援サー ビスを行っていくべきだと考える。企業は歴史を積み重ねていくなかにおいて、好不調の 波が必ずある。たとえ、尐々計駅が苦しくなったとしても、その立て直しのお手伝いなど も行いながら、じっくり相談にのるというのが本当の意味のリレーションシップバンキン グではないかと思う。これが、先に述べた相対型間接金融に相通じるものがあり、地方銀 行の進む道であると考える。


								
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