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									吉川医薬経済レポート.                          06 年 4 月号:欧米医薬品大手のヘルスケア事業(06.03.06.)


                                 06 年 4 月号レポート

                             欧米医薬品大手のヘルスケア事業

1.ヘルスケア事業の規模
 欧米大手の 05 年決算発表が概ね終了したので,その中からヘルスケア事業についてまとめてみた.
企業によって Consumer Health,Consumer Healthcare,Consumer Care など呼び名は異なるが,ここで
はヘルスケア事業と呼ぶことにする.売上高のほか,営業利益,内訳として OTC 売上が開示してある企
業については,それらも表示した.ヘルスケア事業における営業利益率,OTC のヘルスケア事業に占
める比率,ヘルスケア事業の総売上に対する比率を計算して併記した.欧米企業においては,通常,
OTC はヘルスケア事業に含まれ,医療用医薬品は Pharmaceuticals 事業に含まれ,したがって別の事
業にセグメントされる.(日本企業においては,OTC は医療用医薬品とともに医薬品事業に含まれること
が多く認められる.)

第 1 表 欧米医薬品大手のヘルスケア事業
       社名                      金額(百万米ドル)                         ヘルスケアの比率(%)
                     ヘルスケア     営業利益   内 OTC           総売上      営業利益  OTC 対総売上 r
Johnson & Johanson      9096         -       2678      50514        -      29.4   18.0
Novartis                7279      1055          -      32212     14.5         -   22.6
Glaxo SmithKline        5458         -       2617      39421        -      47.9   13.8
Pfizer                  3878         -          -      51298        -         -    7.6
Bayer                   2787       206                 32406      7.4         -    8.6
Wyeth                   2554         -          -      18756        -         -   13.6
Schering Plough         1093         -        556       9508        -      50.9   11.5
       合計              32145         -         -      234115       -         -    13.7
Johnson & Johnson:McNeil OTC & Nutritional 部門を OTC とみなした.Bayer は 1 米ドル=0.845 ユーロとして,
Glaxo SmithKline は 1 米ドル 0.549 英ポンドとして換算した.


  Johnson & Johnson が 9,096 百万米ドル(日本円換算して 1 兆 0,705 億円),Novartis が 7,279 百万米
ドル(8,567 億円),Glaxo SmithKline が 5,458 百万米ドル(6,424 億円)とかなりの事業規模である.日本
の大手企業の総売上に匹敵し,日本の大手企業のヘルスケア事業は 1 桁規模が小さいといえる.以下,
Pfizer,Bayer,Wyeth,Schering Plough と続いている.最後の Schering Plouhg でも 1,093 百万米ドル
(1,286 億円)の規模をもっており,日本の大正製薬の OTC 事業(04 年度 1,834 億円)をやや下回る規
模である.日本のヘルスケア,OTC 事業は赤字の企業が多いと聞いているが,やはり,この程度の規模
が必要なのであろうか?

2.ヘルスケア事業の収益性
  表1.から見ると,ヘルスケア事業売上が全社売上に占める割合は,Novartis の 22.6%から Pfizer の
7.6%の間にばらついており,7 社平均で 13.7%(約 1/7)である.一応それなりのシェアを占めているが,
全社の利益への寄与はどうであろうか?
  Novartis と Bayer の 2 社が事業別損益を公開しているので,まとめてみよう.

表2 ヘルスケア事業の営業利益
       社名              事業名          売上(百万通貨)            営業利益(百万通貨)         営業利益率(%)
Novartis             医療用医薬                    20262                 6014          29.7
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吉川医薬経済レポート.                                06 年 4 月号:欧米医薬品大手のヘルスケア事業(06.03.06.)


                    generic(Sandoz)                 4694                       342            7.3
                    Consumer Health                 7256                      1055           14.5
Bayer               医療用医薬                            4067                      475           11.7
                    Consumer Care                    2355                      174            7.4
                    糖尿病関連                            2151                      274           12.7
                    動物薬                               856                      179           20.9
                    農業関連                             5896                      690           11.7
                    材料科学                            10695                     1369           12.8
通貨単位:Novartis は米ドル,Bayer はユーロ

  Novartis のヘルスケア事業の営業利益率は,generic 事業よりもよいが,医療用医薬の 50%以下に過
ぎない.Bayer ではヘルスケア事業の利益率は全ての事業の中で最低であり,医療用医薬の 60%を少
し上回る程度である.僅かに 2 社のデータではあるが,欧米大手企業のヘルスケア事業は収入的には
1/7 前後を占めているが利益面では全社でも低い位置付けになっているといえよう.最近,Pfizer がヘ
ルスケア事業の売却先を探しているとの報道があったが,かげりの見えている同社の合理化の一環とし
て首肯できるように思う.
  因みに,家庭用品最大手の Procter & Gamble のヘルスケア事業は Prilosec(一般名 omeprazole,抗
消化性潰瘍薬,プロトンポンプ阻害剤)のスイッチ OTC などを販売しているが,ヘルスケア事業の売上
は 7,786 百万米ドル,営業利益 1,505 百万米ドルで,営業利益率 19.3%である.これは同社の全社営
業利益率 18.4%(営業利益 10,439 百万米ドル/売上 56,741 百万米ドル)を上回っており,収益面で十
分に寄与している.
  このことは,医薬品企業においても,やり方によってはヘルスケア事業が収益面で全社収益への寄与
を増大できることを示唆していると考えられる.そのためには家庭用品販売流通チャネルの重視が必要
であることを併せて示唆していると察せられる.

3.OTC 事業の位置づけ――欧米と日本
 ヘルスケア事業の内訳は,Johnson & Johnson,Glaxo SmithKline,Schering Plough の 3 者が開示して
いる.事業内の部門の名称と売上高,ヘルスケア事業内での構成比を比べてみよう.

表 3 ヘルスケア事業の内訳(単位は表の下に注記)
        社名                     事業                                             部門
                            事業名             売上                   部門名                 売上     構成比
Johnson & Johnson   Consumer                 9096    Skin Care                       2401    26.4
                                                     Baby & Kids Care                1561    17.2
                                                     McNeil OTC & Nutritional        2678    29.4
                                                     Women’s Health                  1568    17.2
                                                     その他                              888     9.8
Glaxo SmithKline    Consumer Healthcare      2999    OTC medicines                   1437    47.9
                                                     Oral care                        943    31.4
                                                     Nutritional healthcare           619    20.6
Schering Plough     Consumer Health Care     1093    OTC                              556    50.9
                                                     Foot Care                        333    30.5
                                                     Sun Care                         204    18.7
売上の単位:Johnson & Johnson と Schering Plough は百万米ドル,Glaxo SmithKline は百万英ポンド.
構成比の単位:%


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吉川医薬経済レポート.                        06 年 4 月号:欧米医薬品大手のヘルスケア事業(06.03.06.)


 OTC 部門の構成比は,Glaxo SmithKline と Schering Plough は 50%前後であるが,Johnson & Johnson
は 30%に満たない.残余は各社各様に特徴のある多彩な事業展開をしていることがわかる.日本の大
手医薬品企業のヘルスケア事業の大部分を OTC が占めているのと大きな相違がある.日本と欧米の間
の OTC をめぐる規制の違いと,主として OTC を取り扱う業態の違いとが原因と推測される.
 今回の薬事法改正で店舗販売業という新しい業態が誕生する.規制面でも,業態面でも欧米に近づ
くように思われる.ドラッグストア,スーパーマーケット,ショッピングセンターなどへの店舗販売業の併設
が容易になり,促進されるであろう.このような動向に合わせた医薬品企業の事業展開が必要になって
いると考えられる.OTC 事業中心型から欧米企業のようなヘルスケア事業型への事業革新を志向する
時である.表3に見られるように特徴のある部門を育成することと,さらにもっと重要なことは,家庭用品
流通チャネルへの参入であろう.
 OTC 事業からヘルスケア事業へ!欧米大手のヘルスケア事業のデータは日本企業に対してこのこと
を示唆していると思えてならないのである.

[付] 現地通貨による原データ
ユーロ
        社名                   金額(百万ユーロ)                       ヘルスケアの比率(%)
                   ヘルスケア     営業利益   内 OTC          総売上     営業利益  OTC 対総売上
Bayer                 2355       174          -    27383     7.4     -     8.6
英ポンド
        社名                   金額(百万英ポンド)                      ヘルスケアの比率(%)
                   ヘルスケア     営業利益   内 OTC          総売上     営業利益  OTC 対総売上
Glaxo SmithKline      2999        -         1437   21660      -    47.9   13.8



                                       筆者から

  今年は何かと天候不順ですが,皆様お元気にご活躍のことと存じます.

 今回の薬事法改正で一般用医薬品が成分の安全性に基づいて 3 分類されたことはご存じのとおりで
す.しかし,成分の安全性に基づく分類表を見ていると疑問が湧いてきます.なぜ外用剤の水虫薬が最
も安全性が低く,時に皮膚にかなり重い副作用が生ずる解熱鎮痛薬がそれよりも安全性が高いとされて
いるのか?ということなどです.報告書を読むとそれなりに理由があり,その範囲では一応納得できます.
しかし,その理由を超えて一般的にというか,基本的にというか,どうもすっきりしないものが残ります.

 医薬品の副作用は,重篤なものはその有無を,軽微なものはその頻度を問題にすべきと畏友神原秋
男さんから,かって教えてもらいました.根拠に基づく医療――EBM が昨今盛んに唱えられ,検証され,
実践されています.筆者は医薬品の安全性を EBM の手法を用いて洗いなおす必要があると思っていま
す.医療用医薬品と一般用医薬品の垣根を取り払って,成分について,そして繁用される配合剤と併
用療法をも含めて検討の対象にしたらよいと思います.情報の収集,分析,安全性の評価――作業量
としては,かなりの多さになり時間と労力を必要とするでしょう.しかし,一度やっておけば,補訂も可能と
思います.
 得られた安全性の評価に基づいて医薬品を分類するとよいと考えます.そしてその分類に対応して要
処方箋薬,要薬剤師薬,登録販売者取扱薬,その他を決めることが重要であると思っています.
 軽微な副作用の頻度が上記の解熱鎮痛剤よりも少ない薬物――全世界で繁用されている生活習慣
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吉川医薬経済レポート.            06 年 4 月号:欧米医薬品大手のヘルスケア事業(06.03.06.)


病用の医薬品の中には,このような薬物もあるようです.これらにも正当な位置づけをするべきではない
かと思っています.今までの既得権益に配慮して経過措置を設けつつも EBM の手法に基づく原則への
転換を願うものです.
 今回の薬事法改正に伴う一般用医薬品の分類はそれまでの経過措置に過ぎないのではないか?筆
者にはそのように思えます.

 この報告がお手元に届くころは,桜の満開も過ぎ,葉桜の若葉が美しい季節になっていると思います.
また,皆様のご健勝でのご活躍を祈念いたします.
                                    (06.03.06.執筆 YPC)




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