Bloody Diarrhea by Tp10cwox

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									薬理学演習2001 6班 Presentation




   Bloody Diarrhea
    S. Ichikawa (99MB1008)   D. Kurokawa (99MB1031)
    T. Takai (99MB1053)    I. Hamada (99MB1075)
    S. Watanabe (99MB1099) M. Kawakami (95M130)
Case history
症例の概要
 8歳,男児
 2日間の下痢が続き,2日目には14回の排
  便,さらに血が混ざるようになる.
 排便時に激しい痛み,嘔吐が1回,全身症状
  は良かったが,脱水症状が見られた.
 6日前にバーベキューで,本人が嫌がったに
  もかかわらず,中心が生焼けのピンクのハン
  バーガーを食べる.
検査結果
                   学童の
        /μl,
白血球13,100         正常白血球数:6,000-10,000 /μl
そのうち好中球9,700 /μl   正常好中球数:3,000-5,000 /μl



便をメチレンブルー染色したところ,多核白血球
が多く見られた.

グアヤック試験     陽性 →便潜血(+)
施された治療

   Trimethoprim-sulfamethoxazole (ST合
    剤)投与

   脱水症状には静脈点滴による治療

   24時間で回復,退院
O157, A to Z !
O157感染の
報道は記憶に
新しいはず

近頃は世間の関心が薄
まっているように思われ
るが,決して克服された
わけではない.
Outbreakすれば,依然
として猛威を振るう.
臨床症状
   軽度下痢症から出血性大腸炎,溶血性尿毒
    素症候群(HUS),脳症など多様

   主に水溶性下痢と腹痛で発症する.翌日に
    は血便が見られることもあり,鮮血を多量頻
    回に排出する場合も多い(出血性大腸炎)
合併症-1
溶血性尿毒素症候群(HUS)
 発症約1週間後,約10%の患者はHUSに移
  行する.血小板減少や溶血性貧血(LDHの上
  昇),尿量減少,血尿,蛋白尿などで気づく.
 Vero toxinにより血管内溶血
  →血小板凝集が亢進 →血小板減少
  (血小板減少性紫斑病)
 HUS患者の約3%は死亡.
合併症-2
脳症(中枢神経障害)
 神経症状(痺れ,頭痛)や意識障害を随伴し,
  痙攣重積,昏睡に陥る例も多い.
 大脳・小脳の血管内皮傷害とプルキンエ細胞
  の傷害,脳幹・脊髄での神経細胞の浮腫や
  出血が機序として考えられている.
    病原性大腸菌の分類
   ETEC:腸管毒素原性大腸菌(Enterotoxigenic E. coli)
   EIEC:腸管侵入性大腸菌(Enteroinvasive E. coli)
   EPEC:腸管病原性大腸菌(狭義)
     (Enteropathogenic E. coli)
   EHEC:腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic E. coli)
     =VTEC:Vero(cyto)toxin-producing E. coli,
     =S(L)TEC: Shiga(-like) toxin-producing E. coli
        ETEC               EIEC             EPEC            EHEC
主要臨床      下痢               発熱                下痢              血便
 症状       嘔吐               腹痛                腹痛              腹痛
          腹痛              粘血便
 病原    enterotoxin 組織侵入増 attaching and   VT1 VT2
 機序                  殖能     effacing   attaching and
                                          effacing
 主な    6, 8, 11, 25,   28ac, 112, 124,   26, 44, 55, 86,   O157:H7
       27, 78, 159     136, 143, 144,    111, 114, 119,
O血清型                      152, 164       125, 126, 127,     O26:Hll
                                         128, 142, 148
                                                           O111:NM
診断法    enterotoxin 血清型別                   血清型別             血清型別
          検出       侵入性試験                                   VT検出
大腸菌
O157:H7とは?
 グラム陰性桿菌
 通性嫌気性            大腸菌の性質
 乳糖を分解して酸とガスを発生
 Oは菌体抗原(リポ多糖体抗原,耐熱性)で,
  157はその種類を示す番号(1~173)
 Hは鞭毛抗原(鞭毛タンパク抗原,易熱性)で,
  7はその種類を示す番号(1~157)
O-157感染の集団発生例
 1982
   米国オレゴン州・ミシガン州
   ハンバーガーを介した食中毒
 1990
   埼玉県浦和市
   幼稚園の井戸水による集団食中毒
 1996
   大阪府堺市 学校給食集団食中毒等多数
Who is this!?
出血性大腸菌O157による
食中毒の発生状況
         発生件数   患者数     死者数
  1996    87    10332    8
  1997    25     211     0
  1998    13     88      3
  1999    6      34      0
  2000    14     110     1
                  (厚生労働省のHPより)

 報道はあまりされないが発生は続いている!
腸管出血性大腸菌EHEC
 (特にO157)の検査方法

 細菌学的方法(分離培養)
 生化学的方法(抗原抗体反応)
 生物学的方法(培養ベロ細胞を用いた検定)
 分子生物学的方法(PCR法)
分離培養
  血清型O157:H7菌の特徴
  ・糖類のソルビトールを分解しない,または遅
  れて分解する
  ・β‐グルクロニダーゼを産生しない



 これらの特徴を用いて分離培地が作られる.
 SMC培地(ソルビトール・マッコンキー寒天培
 地)が代表的
 マルチプレックスPCRでの検出

    ① ② ③ ④   ①   ②     ③   ④
VT2 ○ × ○ ○                     コントロール
                  VT2
VT1 × ○ ○ ×
                            VT1
Virulence factors of EHEC
 Intimin
  - EHECの腸管上皮細胞への付着
 Vero toxin (VT) (= Shiga-like toxin )
  - 細胞の蛋白合成障害
  - 合併症(HUS,脳症)を引き起こす危険性
E. coli
            EHECの腸管上皮細胞への付着-1
           Attaching & effacing adhesion : intimin protein

                    細胞骨格物質           細胞骨格       細胞骨格
                   myosinの燐酸化         の破壊       の再構築

                           intimin
  微絨毛へ                                        台座形成
  の付着




  細胞骨格物質myosin



          腸管上皮細胞
EHECのAttachment & effacing adhesion
EHECの腸管上皮細胞への付着-2
 台座形成(pedestal formation)
  →EHECの増殖の足場となる.
 微絨毛傷害→水分吸収障害性下痢
 絨毛毛細血管の傷害による出血(血便)
 増殖したEHECで産生されたVero toxinが血
  中に入る
Vero toxin (VT) = Shiga-like toxin
 Vero toxinには,VT-1とVT-2の2種
 VT-1は赤痢菌(Shigella dysenteriae)の毒素と
  同一.VT-2も同じfamilyに属する.
 VT-1のみ産生,VT-2のみ産生,あるいは
  VT-1,2の両方を産生の3種がある.VT-2産
  生の2種は,より毒性が強いといわれる.
 標的部位は,腸絨毛,腎臓,脳の微細血管
  Vero Toxinの産生と作用-1
                                         VT遺伝子は溶原化
  E.Coli(EHEC)の遺伝子   E. Coli (O157:H7)   したbacteriophage
                                         にcodeされている.

                                           溶原化phageの
                                           遺伝子



VTの遺伝子                                          Vero toxin


             細胞膜が破れるなどして
             Vero toxinを細胞外に放出
 VTの産生と作用-2
                         放出された
                         Vero toxin
    receptors



腎尿細管,               侵入
中枢神経
等の細胞



 ※細かい機構は後のスライドで.


                   細胞死
Vero Toxinの作用メカニズム-1
 VTはA-B toxin
  →toxinが2つの部分からなり,一つは細胞表
  面レセプターへの結合の機能を(Binding
  site),他の部分は活性を示す(Active site) .
 A subunit:RNA N-glycosidase活性
  →28S ribosomal RNAを失活させる
  →蛋白合成障害 →細胞死
Vero Toxinの作用メカニズム-2
A subunit
                                receptor(Gb3, Gb4)
B subunit


                        phagosome



 ribosome不活化

                          細胞死
               蛋白合成障害
O157感染に対する
治療と抗菌薬
O157感染・治療法-1
 対症療法
  下痢の程度に応じて補液により水,電解質を
  補給する
  腹痛を抑える
 早期
  抗菌薬を用いて除菌する.
 症状の強い時期
  抗菌薬はできるだけ用いず,静菌作用をもつ
  ものを選択的に用いる.
 各種抗菌薬の抗菌スペクトル
                                            Pathogenic microorganisms
  Antibacterial
                                    Rickettia                         Anaerobic   Myco-
     drugs             Mycoplasma               Gram (+)   Gram (-)
                                    Chlamydia                         bacteria    bacteria
Penicillins, Cephems
Carbapenems
Monobactams
Fosfomycin
glicopeptides
Cycloserine
Aminoglicosides
Macrolides
Clindamycin
Rifampicin
Tetracyclines
Chloramphenicol
New quinolone

                                                                      ■:適応菌 ■:有効菌
O157感染に抗菌薬は使うべき?


   議論が分かれており,
   まだ解決を見ていない.
抗菌薬を使うべきでないとする立場


   菌体の破壊によって毒素が大量に放出され,
    症状が逆に悪化する可能性.

   抗菌薬の刺激によって,Vero toxinをコードす
    る遺伝子にinductionがかかる可能性.
最近の報告
   ある種の抗菌薬を使用すると,SOS応答に
    よってベロ毒素をコードしている溶原phageに
    inductionがかかる可能性がある.
    →かえって症状が悪化する可能性がある.


    Trimethoprim(ST合剤),
    New quinolones(ノルフロキサシンetc)
早期症状の場合
   症状が軽度の時期で,腸管出血性大腸菌(EHEC)
    が同定されていないことが多い.

   抗菌スペクトルの広い抗菌薬がよい.

    ・ホスホマイシン(fosfomycin)
     ・カナマイシン(kanamycin)
    以上の薬物を経口投与する
症状の強い時期
   殺菌的な抗菌薬を強力に用いると,菌中の毒
    素を大量に放出させて合併症の発症を促進
    する場合もある

   抗菌薬は利用しないか用いるとしても静菌的
    なものを選ぶ
O157感染・治療法-2
   禁忌!
    強力な下痢止め薬(除菌を遅延してしまう).

   出血性大腸菌O157の治療法の主目的は,
    HUSや脳症など重症合併症の発症予防と治
    療である.
ホスホマイシン(fosfomycin)
 細胞壁合成阻害作用
  ペプチドグリカン合成の最初の段階でUDP-
  GlcNAc-ピルビン酸転移酵素の反応を阻害
 グラム陽性菌・グラム陰性菌・緑膿菌に有効
 他の系統の抗生物質との間に交叉耐性を示
  さないため,他系統の抗生物質に対する耐性
  菌にも有効なことが多い
カナマイシン(kanamycin)-1
   アミノグリコシド系抗生物質

   蛋白質合成阻害作用
    細菌の30Sリボソームに結合して蛋白質合
    成開始の阻害や異常蛋白質の合成を起こす

   好気性のグラム陰性桿菌に有効
カナマイシン(kanamycin)-2
   経口投与では消化管でほとんど吸収されな
    いので腸内感染症に有効

   ほとんどすべての細菌感染症に使われる

   副作用:腎障害・聴覚障害・前庭器障害
ST合剤-1
   葉酸代謝の阻害
     - sulfamethoxazole:ジヒドロ葉酸シンターゼ
        阻害により葉酸生合成を阻害
     - trimethoprim:ジヒドロ葉酸レダクターゼ
        阻害により葉酸活性化を阻害

   小腸で吸収され全身の組織に分布し,腎臓か
    ら排泄される
ST合剤-2
   副作用:
    血液障害:貧血・白血球減少・血小板減少
    消化器障害:悪心・嘔吐・下痢
    腎臓:腎障害
    皮膚:皮膚炎
重症合併症に陥った場合の治療
    現在,有効な薬剤治療は無い

◩ HUSの場合
水電解質の管理,血漿交換或いは腹膜・血液透析な
ど,急性腎不全に準じた治療を行う

◩ 脳症の場合
脳浮腫を軽減するために輸液量を調節し,脳圧降下
薬の投与など,一般の脳症に対する治療を行う
O157感染の予防
保菌家畜としての牛の重要性
●1982年 米国の2州でハンバーガーを原因とする
     中毒事件が発生.(O157に汚染された牛
     肉が感染源であった.)

  牛を中心とする家畜での保菌が問題となる.

●1996年 国内でもO157食中毒大発生


  家畜のO157保菌実態に関する全国調査
  屠殺場に搬入された牛の保菌率…1.4%
畜産物のO157汚染防御策

   O157を含む大腸菌は,動物腸内常在細菌の
    1つであり,生体内からこれら大腸菌をすべて
    排除することは不可能である.

   O157は腸管以外の筋肉などには存在しない
    ため,腸管以外の筋肉への汚染を防ぐための
    衛生管理が重要である.
具体的な感染予防法
   とくに汚染が疑われている肉類の充分な加熱調理を心
    がける.
   家畜糞便から生鮮野菜類への二次感染に注意が必要
    である.
   未殺菌の飲料水は消化器系病原菌感染の観点からは
    きわめて危険である.
   患者の衣類の消毒,汚物の処理後の手指の消毒
    ~患者のピーナッツ1個大の糞便中には約1億個,
    下痢便の1滴には約100万個の細菌が含まれている.
牛乳の低温殺菌で
O157は死滅するか?




実験的には牛乳中のO157は64.5℃で16秒間
の処理で死滅する.だから通常の低温殺菌条件
で心配なし.
冷凍肉中でも
 O157は生存できるのか?



-20℃凍結牛肉中のO157の生存性を検討した結
果,9ヶ月後でも生残菌数に大きな減少はみられてい
ない.他の食中毒菌と同様にO157は凍結肉では長
期間生存できるため,凍結肉の解凍時に調理環境な
どへの二次感染に注意しなければならない.
飲料水中でO157は
生存できるのか?




生存性は環境の温度条件や水に含まれる塩類およ
び共存細菌の影響を受ける.
5℃保存…70日以上の生存.
20℃保存…50日で陰性に.
THE END

  Special thanks to Dr. Sukegawa

								
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