ECB Chapter 18

Document Sample
ECB Chapter 18 Powered By Docstoc
					Chapter 18 細胞周期と細胞死
今回の内容は今後常識として扱われるので重要。今回、図番号の表記は、 3 版(第 2 版)となってます。
                                 第
1.細胞周期とは
 細胞増殖の際に決まった順序で起こる一連の過程を細胞周期と呼ぶ。
 細胞周期の概略は図のようになっており、有糸分裂・細胞質分裂が起こる段階を M 期と呼ぶ。
 M 期から次の M 期までの間(G1→S 期→G2 期)は間期と呼ばれ、                  G0 期
 S 期では DNA 複製、G1 期・G2 期では細胞の成長や細胞器官の複製が
 行われる(M, S, G はそれぞれ mitosis, synthesis, gap の略)
                                              。
                                                       G1 期

 G1 期・G2 期には細胞周期におけるチェックポイントが存在し、
                                                  M期          S期
 環境条件、DNA 損傷の有無、DNA 修復・複製の完了など、
 次の段階に進むための細胞の準備が整っているかが確認される。
                                                       G2 期
 (細胞周期はチェックポイントで分子ブレーキにより一時停止する)                              間期

 さらに、G1 期の変形した G0 期は細胞周期から隔離され、分裂する必要のない細胞は分裂再開まで
 G0 期にとどまる。成体細胞の分裂速度の違いは G0 期・G1 期にとどまる時間の違いから生じる。
 (神経細胞や骨格筋細胞は一生分裂せず、肝細胞は 1~2 年に 1 回、腸上皮細胞は 1 日 2 回以上など)


2.細胞周期制御系
 細胞周期の進行(すなわち DNA 複製、有糸分裂、細胞質分裂の開始や調節など)に働く蛋白質を
 活性化するキナーゼは、サイクリンという蛋白の周期的な濃度変化に応じて酵素活性を変動させる。
 これらのキナーゼは、サイクリンが結合しないと働かないことからサイクリン依存キナーゼ(Cdk)と
 呼ばれる。逆に、チェックポイントでは何らかの Cdk 阻害蛋白が関与していると考えられている。


(1)G2 期→M 期→G1 期の制御
                               Cdk と相互作用して M-Cdk を作る。
  M 期への進行を助けるサイクリンは M-サイクリンと呼ばれ、
  M-Cdk の活性化にはキナーゼによる特定の部位のリン酸化を要するが、その際、阻害的に働く
  別のリン酸基も生じるため、このリン酸基がホスファターゼによって脱リン酸化されることで、
  初めて M-Cdk が活性をもつ(この最終的な脱リン酸化が G2 期の終わりに起こる)。
  いったん活性化した M-Cdk は正のフィードバックによりさらに多くの M-Cdk の活性化を進める。
  そのため、M-Cdk の活性は間期を通した M-サイクリンの濃度上昇に従って
  徐々に上昇する訳ではなく、G2 期の終わりに突然生じる(Figure 18-5(6)参照)
                                              。




  後期促進複合体(APC)は活性状態の M-Cdk によって有糸分裂後期に活性化される蛋白複合体で、
  M-サイクリンをユビキチン化して分解することで M-Cdk を不活性化する(Figure 18-11(7)参照)
                                                         。
  こうして M 期が終わり、次の G1 期が開始する。
(2)G1 期→S 期→G2 期の制御
  S 期の開始を調節するサイクリンには G1-サイクリン、G1/S-サイクリン、S-サイクリンがある。
  G1-サイクリンは G1 初期、G1/S-サイクリンと S-サイクリンは後期に
  それぞれ別の Cdk と結合して G1-Cdk、G1/S-Cdk、S-Cdk を形成する。
  DNA 複製の開始配列である複製起点には複製起点認識複合体(ORC)が
  細胞周期を通して結合しており、他の調節蛋白が結合する標的となる。
  調節蛋白の Cdc6 は G1 初期に一時的に濃度が上昇して ORC に結合し、
  他の蛋白質の結合を促進して複製前複合体を形成する。
  G1 後期に S-Cdk が活性化されると DNA 複製が開始するが、
  同時に活性状態の S-Cdk は Cdc6 をリン酸化して他の蛋白質とともに
  ORC から解離させ、さらに Cdc6 にユビキチン化・分解の目印をつける。
  従って、同じ複製起点または同じ細胞周期で DNA 複製は再度起こらない。


(3)チェックポイントにおけるブレーキ機構
  DNA に損傷が存在すると G1 期で細胞周期が停止する。
  これは、DNA の損傷により遺伝子調節蛋白の p53 が活性化し、
  Cdk 阻害蛋白である p21 の遺伝子の転写が促進されるからである。
  (p21 は G1/S-Cdk と S-Cdk に結合して S 期への進行を妨げる。
                                           )
  p53 に異常や欠損があると損傷 DNA が複製され、変異率が上がり、
  細胞ががん化しやすい(ヒトのがんでは約半分に p53 遺伝子変異が存在)。


3.アポトーシス
 細胞が損傷によって死ぬことを壊死といい、細胞が膨張・破裂して内容物が周囲に放出される。
 一方、不要になった細胞は「自殺する」ための機構を活性化し、周囲に害を及ぼすことなく死ぬ。
 この現象をアポトーシス(プログラム細胞死)という。(例えばオタマジャクシの尾の細胞など)
(1)アポトーシスの特徴
  アポトーシスでは、細胞は凝縮し、細胞骨格が壊れ、核膜が分散し、核の DNA は断片となる。
  さらに細胞表面がマクロファージを引きつけ、内容物が周囲に漏れ出す前に取り込まれる。


(2)アポトーシスの反応機構
                  アポトーシスを行うのはカスパーゼというプロテアーゼファミリーで、
                  通常は核をもつ全ての動物細胞にカスパーゼの不活性な前駆体である
                  プロカスパーゼとして存在しており、Bcl-2 ファミリー蛋白を主とする
                  シグナルにより切断されることで活性をもつ。活性状態のカスパーゼは
                  他のカスパーゼの活性化して、蛋白分解の連鎖反応を増幅する。
                      Bcl-2 ファミリーの中でアポトーシスを促進する蛋白質の代表例は
                      Bax および Bak で、ミトコンドリアからシトクロム c を放出させて
                      間接的にプロカスパーゼを活性化する。
4.細胞外からの制御
(1)分裂促進因子;細胞内の分子ブレーキ機構を解除して細胞分裂を促進する
     たとえば網膜芽細胞腫(Rb)蛋白は特定の遺伝子調節蛋白に結合して細胞増殖に必要な遺伝子の
     転写を妨げているが、分裂促進因子は細胞内シグナル伝達経路を介して G1-Cdk や G1/S-Cdk を
     活性化し、これらが Rb 蛋白をリン酸化して構造を変化させ、遺伝子調節蛋白から解離させる。


(2)増殖因子;細胞内のシグナル伝達系を活性化することで細胞の成長を促進する
           (たとえば血小板由来増殖因子(PDGF)など)
     これらのシグナル伝達経路は蛋白質などの合成速度を上げるか分解速度を下げて蓄積を促し、
     細胞容積を増加させるのに働いている。
     ※逆に細胞の成長や増殖を抑制する細胞外シグナルも存在する。
       (骨格筋の筋芽細胞に対して働くミオスタチンなど)


(3)生存因子;Bcl-2 ファミリー蛋白の調節によりアポトーシスを抑制し、細胞の生存を促進する
     「生存因子を必要な細胞だけに十分に受け取らせて他の細胞をアポトーシスさせる」という形で
     細胞数の調節に利用されることが多い(神経細胞など。Figure 18-41(27)参照)。




【単語リスト】
細胞周期             cell cycle                     壊死       necrosis
M期               M phase                        アポトーシス   apoptosis
間期               interphase                     カスパーゼ    caspase
チェックポイント         checkpoint                     分裂促進因子   mitogen
サイクリン            cyclin                         増殖因子     growth factor
サイクリン依存キナーゼ cyclin-dependent kinase (Cdk) 生存因子           survival factor
後期促進複合体          anaphase promoting complex (APC)
複製起点認識複合体        origin recognition complex (ORC)
複製前複合体           pre-replicative complex

				
DOCUMENT INFO
Shared By:
Categories:
Tags:
Stats:
views:10
posted:3/13/2012
language:Japanese
pages:3