ビタミンB12と葉酸の測定法と基準
値の検討(その1)
日本ビタミン標準化検討協議会
中森 誠(株式会社エスア-ルエル)
日本人の栄養所要量について
1969年 昭和44年
(当時)厚生省により始めて策定
・ ・
・
1995年~ 平成7年4月~平成12年3月
第五次改定
「日本人の栄養所要量」-食事摂取基準-
2000年~ 平成12年4月~平成17年3月
第六次改定
活動開始 「日本人の栄養所要量」-食事摂取基準-
2005年~
平成17年4月~平成22年3月
日本人の食事摂取基準
米国におけるRDAの策定方法
ビタミンB12 葉酸
血液学的検査を基準範囲に維
血液学的検査を基準範囲に維
持できる食事およびサプリメント
持できる食事からの摂取量
からの摂取量
血清ビタミンB12濃度を
血清葉酸濃度を3ng/mL以上に
200pg/mL以上に維持できる食
維持できる食事摂取量
事摂取量
葉酸
ビタミンB12
日本の第六次改定の策定方法
米国に準ずる
米国に準ずるが、
食事のみの摂取量
背景
「第六次改定 日本人の栄養所要量-食事摂
取基準」で新たにビタミン、ミネラル合わせて13
種の成分が追加された
その幾つかにおいて所要量は血液濃度を基準
範囲に保ちえる摂取量として策定された
ビタミンB12と葉酸所要量はそれぞれの血清濃
度を200pg/mL、3ng/mL以上に維持できる食事
からの摂取量
日本の基準は米国RDAの考え方にならったも
のである
問題点
米国RDAで用いられているビタミンB12と葉酸
の基準値は欧米人の成績を基にしている
このときに用いられた測定方法は、現在、日本
で利用できない。わが国ではCLIA、CLEIA、
ECLIAなどを利用した自動分析が主流となって
いる
これらの測定方法はわが国では標準化されて
いな
目的
日本人
日本人に合った
栄養所要量
日本で利用できない
二次標準品
の使用 日本で利用できる
第六次改定
日本人の栄養所要量
米国人
検討内容
日本で利用可能な測定法の明確化
各測定法の比較検討
A) ビタミン添加血清
添加物
B) 健常者血清
健常者の抽出基準
中央値と平均値
基準範囲
測定機器と測定原理
測定機器 測定原理
Access CLEIA(化学発光酵素免疫測定法)
ADVIA Centaur CLIA(化学発光免疫測定法)
ECLusys 2010 ECLIA(電気化学発光免疫測定法)
Immulyze CLEIA(化学発光酵素免疫測定法)
ビタミンB12と葉酸の化合物
ビタミンB12 葉酸
5-メチルテトラヒドロ葉酸
メチルコバラミン
血中主成分、不安定
血中主成分、不安定
PGA(プテロイルグルタミン酸)
シアノコバラミン
サプリメントなど
サプリメントなど
ヒドロキソコバラミン テトラヒドロ葉酸
アデノシルコバラミン ジヒドロ葉酸
ビタミン添加血清(VES)の測定結果
測定機器 ビタミンB12(pg/mL) 葉酸(ng/mL)
Access 1,175 12.3
ADVIA Centaur 1,165 11.1
ECLusys 2010 1,189 13.5
Immulyze 939 11.1
ビタミン添加血清(VES:VitaminEnricedSerum) : pool血清にシアノコバラミンとプテロイルグルタミン酸を添加して作成
Target values:ビタミンB12 1270pg/mL、葉酸 9.18ng/mL
健常者分析について
不定愁訴の問診
疲労度、気力、体調など
生活習慣
喫煙、飲酒、サプリメント
食事調査
3日間の食事調査によるビタミンB12と葉酸の摂取量
調査
(第六次改定:ビタミンB12:2.4μg/day、葉酸:200μg/day)
血液学的検査
赤血球数、網状赤血球数、平均赤血球容積値、ヘマトクリット値、
ヘモグロビン、血清鉄、TIBC、フェリチン、ホモシステインなど
機種別の中央値および平均値(ビタミンB12)
中央値(最小値~最大値) 平均値±SD
測定機器 pg/mL pg/mL
Access 472(210~984) 495±165
ADVIA Centaur 462(240~908) 472±136
ECLusys 2010 643(275~1359) 669±232
Immulyze 469(220~1164) 511±195
健常者女性58例の母集団を4種類の測定機器で測定した時の中央値と平均値
機種別の中央値および平均値(葉酸)
中央値(最小値~最大値) 平均値±SD
測定機器 ng/mL ng/mL
Access 5.5(3.3~17.5) 6.1±2.3
ADVIA Centaur 8.9(5.3~19.5) 9.7±3.4
ECLusys 2010 4.6(1.8~12.7) 5.3±2.7
Immulyze 5.1(2.6~12.9) 5.4±2.1
健常者女性58例の母集団を4種類の測定機器で測定した時の中央値と平均値
95%分布範囲(基準範囲)
測定機器 ビタミンB12(pg/mL) 葉酸(ng/mL)
Access 243~906 3.0~11.1
ADVIA Centaur 257~804 4.8~17.6
ECLusys 2010 313~1270 2.1~11.2
Immulyze 233~985 2.4~10.7
健常者女性58例の母集団を4種類の測定機器で測定し、95%の分布範囲を求めた結果
機種別のビタミンB12濃度比較
1500
ECLus y s
r ^ ~ a P è l i pg/mL
y = 1.29x
j
R = 0.9918
IMM2000
1000 y = 1.06x
R = 0.9695
A cces s
Qª
y = 0.90x
R = 0.9843
500
C e n t au r 母 集 団 は 健
Centa ur
Ac c e ss 常者女性58例
y = 0.75x
R = 0.9794 EC Lu sys
IM M 2 0 0 0
0
0 500 1000 1500
@ í Ì ½ Ï l i pg/mL
4 j
機種別の葉酸濃度比較
20.0
Centa ur
y = 1.36x
R = 0.9890
t _ ª è l i ng/mL
A cces s IMM2000
15.0
j
y = 0.84x
y = 0.89x
R = 0.9315 R = 0.9749
10.0 ECLus y s
y = 0.92x
R = 0.9782
5.0 C e n t au r
Ac c e ss 母 集 団 は 健
EC Lu sys 常者女性58例
IM M 2 0 0 0
0.0
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0
@ í Ì ½ Ï l i ng/mL
4 j
まとめ
VESの測定結果は4機種間でおおむね近似し
た値が得られた
健常者女性58例の測定で、ビタミンB12は
ECLusys 2010、葉酸はADVIA Centaurが高
めであった
VESと血清では反応性が異なった
血清では4機種間で反応性が異なった
VESでは各機種の測定結果の収束を行なうた
めに二次標準物質とすることは難しい
今後の課題
各測定機で用いられている標準物質の①
成分の違い、②根付けの違い、さらに測
定試薬の③各成分に対する反応性の違
いの明確化
二次標準物質として相応しい成分比率の
解明
各測定法別の基準範囲設定
共同研究メンバ-
橋詰直孝(和洋女子大学家政学部)
渭原博(東邦大学医療センター大橋病院臨床検査部)
戸谷誠之,稲毛寛子,木村修一(昭和女子大学大学院生活機構)
長村洋一(千葉科学大学)
須藤加代子(国際学院埼玉短期大学)
青木芳和(神奈川県予防医学協会)
佐伯ひろみ(ベックマン・コールター株式会社診断システム本部)
佐川直敏, 上岡千介,清水啓,砂原誠司,渡邉理恵(株式会社三菱
化学ビーシーエル)
渡辺正一,平山弘司,中森誠,竹並健(株式会社エスアールエル)
吉田雅之(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)
川崎芳正,荻原貴裕(バイエル・メディカル株式会社)
河合忠(国際臨床病理センター)
渡邊敏明(兵庫県立大学環境人間学部)