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									    VOC処理技術の
社会・経済・環境への影響評価




        2011 年 2 月



     創造工学研究所
         鶴岡   洋幸
         平野   輝美
         秋元   英郎
         清水   隆男
         沖津   修

 〒105-0003 東京都港区西新橋1-17-7
          第一稲垣ビル
               目 次


1.はじめに                           3
2.VOC排出の現状                       3
2.1 光化学オキシダントとSPM                3
2.2 オゾン層破壊                       4
2.3 地球温暖化ガス                      4
2.4 VOC排出量                       4
2.5 VOCの好ましくない影響                 5
3.VOCを活用する産業と効果                  6
3.1 主要発生源                        6
3.2 VOCに関する利害関係者                 6
3.3 行政のポジショニング                   7
4.テクノロジーアセスメント(TA)               7
4.1 テクノロジーアセスメントとは               7
4.2 TAの手法                        7
4.3 本件TAの考え方                     8
4.4 TAの対象                        8
5.TAにおける評価軸-VOCを削減もしくは無害化する技術    8
5.1 VOC使用量の削減に係る技術               8
5.2 使用したVOCを無害化・リサイクルに係る技術       9
6.VOC排出削減TAの概要把握                10
6.1 総量削減処理技術                    10
6.2 効率化処理技術                     11
6.3 代替化処理技術                     12
6.4 無害化処理技術                     13
6.5 再利用(リサイクル)処理技術              14
6.6 再活用(リユース)処理技術               16
6.7 将来におけるTA                    16
7.排出されるVOC処理技術のTA               18
7.1直接燃焼技術の現状と課題                 18
7.2蓄熱燃焼技術の現状と課題                 19
7.3触媒燃焼技術の現状と課題                 19
7.4蓄熱・触媒燃焼技術の現状と課題              20
7.5プラズマ分解技術の現状と課題               20


                 1
7.6光触媒分解技術の現状と課題              21
7.7生物処理技術の現状と課題               21
7.8オゾン分解処理技術の現状と課題            21
7.9冷却凝縮回収技術の現状と課題             22
7.10吸着回収技術の現状と課題              22
7.11吸収回収技術の現状と課題              23
8   VOC削減技術テクノロジーアセスメントの概観    23
8.1VOC削減技術テクノロジーアセスメントの相互比較   25
9.技術士からの提言                    26
10.結言                         28
レビュアー                         28
引用文献                          30




               2
1.はじめに
揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)とは,揮発性を有し,
すなわち常温において大気中で気体状である有機化合物の総称である.一般的に,トル
エン,キシレン,酢酸エチルなど多種多様な物質が含まれる.
改正大気汚染防止法が2006年4月1日より施行された.大気汚染防止法改正の主要
な目的の一つとして,VOC排出抑制が挙げられている.身近なVOC発生源に対しても,
それを抑制使用とする社会的要請が明確になってきているのである.
大気汚染防止法の改正前では,VOCの排出抑制は都道府県レベルによる条例で行
われてきた.2002年に埼玉県が行ったVOC抑制を目的とした,埼玉県生活環境保全
条例では,一定規模以上の使用もしくは生産する設備には処理装置設置を義務とした.
VOCは産業資材として広く使われている.その代表は,塗装業であり,接着剤や粘着
剤の製造業や使用業者,有機溶剤使用業種,印刷業,クリーニング業等である.日本の
VOC排出量は年間約115万トン(2007 年環境省集計値)と言われているが,その利用状
況はそれぞれの産業において重要な機能を担っており,代替することが難しい状況にあ
ると考えられる.しかしながら,これらを削減すべく社会的な要請が強まっていることも,社
会的トレンドであろう.


環境省や経済産業省等において,多くの調査報告が行われており,VOCの排出現状
を把握して削減へとつなげる試みが継続されている.また,各種の公益団体,学協会な
どにおいて,多くのセミナーが行われており,産業界における削減への理解も深まってい
る.


本報告では,VOC排出とVOC処理技術の現状をまとめ,我々の考えるTA(テクノロジ
ーアセスメント)のフレームワークを適用して,VOC処理技術の環境・経済・社会への影
響評価を行った結果を報告する.


2 VOC排出の現状
我々は地球表面にへばりついている大気の環境下に生活している.大気の汚染は,毎
日のニュースなどによって頻繁に指摘されている.国際的な会議も多く開催されているが,
改善の決め手を見いだすに至っていない.VOCは大気を汚染する物質の一つであろう.
そして,大気循環よって全地球に影響するのである.まずは,VOC排出の状況とその影
響を概観しよう.


2.1 光化学オキシダントとSPM1)
光化学スモッグは,工場や自動車の排気ガスなどに含まれる窒素酸化物(NO X)やVO


                        3
Cが,太陽の紫外線照射の下で光化学反応により
生成する光化学オキシダント(オゾンやアルデヒド
等)や,エアロゾルが空中に停滞し且つスモッグ状
になる事を言う.光化学オキシダントの発生は,人
の健康被害を与える可能性があること,そしてSP
M(Suspended Particlate Matter)との反応
でスモッグの原因になると指摘されている.都市部
におけるVOCは,光化学オキシダントとSPMの原
因物質として指摘されている.
 図1に光化学スモッグを10日間以上測定(注意              図1 光化学スモッグを10日以
報レベル)した大気測定局の分布を示す.大都市               上測定した大気観測局の分布

部に分布している.このような状況は,都市部にお
いて集中的に排出されているVOCに大きな課題を抱えていると考える.近年では日本の
西部地域において,中国・韓国からの越境汚染に基づく大気環境の悪化がコンピュー
タ・シミュレーションの結果判明している2).


2.2 オゾン層破壊3)
 南極上空のオゾン濃度が下がり,人工衛星の映像でまるで穴のあいたように見えること
からこの名が付けられた.その発生原因やメカニズムなどは解明されていないが,塩素系
VOCが原因とする考え方がある.光化学スモッグに示したように,VOCと紫外線の相互
作用により何らかの悪影響を拡大している可能性が指摘される.大気循環を通して発生
する全地球的なVOCの影響として例示することができよう.


2.3 地球温暖化ガス
 2007年2月の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書(AR4) 4)で,
『人為的な温室効果ガスが温暖化の原因である確率は90%を超える』と指摘された.人
間の産業活動による排出物質(代表としてCO2)が大気に蓄積された結果であると考えら
れているが,その影響は確定していない.VOCに関連する観点としては,VOC処理の
結果としてCO2を排出してしまうことがある.オゾン層破壊と同じように,大気循環を通して
発生する全地球的なVOCの影響として例示することができよう.


2.4 VOC排出量
 地球大気圏に対して好ましくない影響を与えている懸念があるVOCであるが,日本で
の排出量は概ね115万トン/年5)といわれている.これに対して,CO2の排出量は12~1
3億トン/年/日本である.VOCの排出量はCO2の排出量の概ね1%程度に相当する.


                             4
2.5 VOCの好ましくない影響
VOCは直接・間接に人間の健康に影響することが懸念されている.また,環境等に対
しても好ましくない影響を与える可能性がある.好ましくない影響について以下のように分
類する.
1)直接的影響
 VOCの物質として好ましくない影響を与える可能性として,環境中の濃度に留意す
  べきであろう.
 1—1) 室内環境濃度       第1表 室内空気のガイドライン(抜粋)
VOCは基本的に気体
状の有機溶剤混合物で
ある.よっ て,有機化合
物として人体に対して好
ましくない影響を与える
可能性がある.どのくらい
の濃度で影響が出るもの
であろうか.参照データと
して,第1表厚生労働省
の示す室内空気のガイド
ライン(抜粋)を示す.代
表的なVOCであるトルエ
ンで0.07ppm,キシレ
ンで0.20ppm程度の値
である.
 1−2) 大気中濃度
VOCの大気中濃度はどの
程度なのであろうか?一例と
して,トリクロロエチレンの年
間平均濃度
(大気中濃度モニタリング)
を図2に示す.概ね1~2
ppb程度の値であることがわ
かる.
                   第2図 トリクロロエチレンの大気中濃度




                     5
 2)間接的影響
 VOCが何らかの反応などを経て,変化した結果やその化学反応などとして影響するも
のを間接的影響と考える.
 2—1) 光化学オキシダント
 VOCによる環境影響として光化学オキシダントが挙げられよう.図1に示したような都市
圏における光化学オキシダントの影響は,VOCの好ましくない影響を増幅する結果とな
っている.
 2—2) VOC処理によるCO2
 現在VOCの排出量の 1/2 以上を燃焼処理に拠っているが、燃焼処理すると,温暖化
ガスの1種であるCO2を排出してしまう.VOCが燃焼処理された場合は,LCA(Life Cy
cle Assessment)的な計算では,発生したVOCの概略3~9倍の重量のCO 2を発生さ
せる6)との試算もある.また,燃料を使用することによって有害廃棄物の発生もまた誘起さ
れる.例えば,SOxやNOxである.これらの影響もまたVOCの好ましくない影響を増幅さ
せるものであろう.


3.VOCを活用する産業と効果
 VOCの好ましくない影響について述べてきたが,産業的もしくは生活の一部としてVO
Cを活用していることも確かである.VOCの機能についてまとめる.


3.1 主要発生源
 VOCを発生する主要な業種は,塗
装・クリーニング・接着・洗浄・印刷・コー
ティングである.第3図に,業種別のVO
C発生量 5 ) を示す.生活に直結した産
業から排出されていることが理解されよ
う.


3.2 VOCに関する利害関係者            第3図 業種別VOC発生量(環境省)
 VOCについて,その益および害につ
いて関連する主体はどのようになるであろうか.以下のように考えられるであろう.
     1)VOC含有化学品製造業者
        塗料・インキ・洗浄剤・接着剤・クリーニング溶剤・他の製造業者
     2)VOC含有化学品使用業者(VOC発生工場)
        塗装・印刷・洗浄・ラミネート・接着・クリーニング・その他
     3)社会・公衆


                        6
   4)環境
 利害関係者として,製造・供給する産業があろう.そして,実際に使用する産業がある.
そして,排出された結果から影響される社会や公衆がある.最後に,全地球的な環境に
対する影響が考えられる.
 利害関係者として個人を考えるならば,産業界に所属する労働者としてはVOCの有効
な機能に依存しているであろう.同時に,公衆としては排出されるVOCの好ましくない影
響を受けるであろう.さらに,地球上に生きる人としては地球環境の影響を受ける.それ
ぞれの立場によって,VOCに対する影響評価が異なることは明らかである.


3.3 行政のポジショニング
 これらの利害関係者に行政が入っていない.これは,行政が利害関係者それぞれの相
互にポジションにおいて間に入ることをご理解いただきたい.すなわち,製造業・供給者
に対して,その税制もしくは規制を行うポジションとして行政があると考えられる.この場合,
行政は製造業・供給者に対して影響を与える利害調整機能として働くことになる.
 同様に,VOCを利用する業界に対しても,行政は影響を与える利害調整機能として働
く.具体的な例を挙げれば,使用における監視機能や税制を通じてバランス機能として
働くことが考えられる.
 社会や公衆に対しても利害調整を行うであろう.時には,社会や公衆への好ましくない
影響に対する補償的な機能を担うこともあろう.すなわち,影響を受けるであろう社会や
公衆と,利益を得るであろう利用者のそれぞれに対する利害のバランスをとる立場が行政
なのである.
 最後に,全地球的な環境に対しても,行政が大きく影響する.地球環境に関する国際
的な会議等は,日本国政府,すなわち行政機構が働きかけることになる.


4.テクノロジーアセスメント(TA)
4.1 テクノロジーアセスメントとは
 技術(テクノロジー)は,人々の生活を向上する利益をもたらす.また,社会に対しても
大きな利益と利便を提供する.しかしながら,テクノロジーの提供するものは利便や利益
に限られるものではない.時として,人々や社会に対して不利益をもたらす場合がある.
例えば,自然環境の破壊であったり,社会の不安定化であったり,有害物質などによる汚
染であろう.このような可能性を,多角的,かつ客観的に評価し,事前に総合的に評価し
て,発生するリスクについて推定し,評価するフレームワークをテクノロジーアセスメントと
呼ぶ7).


4.2 TAの手法


                     7
TAを行う手法として標準的なものは確立されていない.その理由は,TAの対象とする
領域が極めて広いため,標準的対応が難しいことが挙げられる.
通常のTAでは,該当するテクノロジーに対して,専門分野が異なる多くの人達の議論
により,多角的かつ客観的に評価を進めることが行われる.


4.3 本件TAの考え方
技術士は,技術領域において経験を有する技術者に与えられる称号である.技術士登
録者は,技術士法により業務が規定されていること,秘密保持の義務,高い技術者倫理
意識など客観的な技術評価を業務として実施する経験を持つ8).
これらの,技術士の立場や業務内容は,TAを実施する主体として適していると考えら
れる.特に,技術士事務所として活動している技術士は,顧客に対しても客観的かつ多
角的に技術評価を行うに適した専門家であろう.
本件TAでは,技術士事務所として活動する技術士の観点からTAを行い,技術士の持
つ客観的かつ多角的な評価を試みる.


4.4 TAの対象
VOCの有害性と機能などについて概観し,述べてきた.VOCは産業的に有効であり,
削減や代替なども容易ではない.それでも,近年の改正大気汚染防止法9)にも規定され
ているように,VOCを削減する社会的,行政的な要請が強くなりつつある.本報告では,
VOCの代替,削減もしくは無害化に係る技術を対象としてTAを行う.
特に,社会・経済・環境に関する視点からVOCの影響を考え,その削減と環境負荷の
低減に関する様々な技術を対象としてTAを実施する.


5.TAにおける評価軸—VOCを削減もしくは無害化する技術
本TA(テクノロジーアセスメント)において,VOCを処理・無害化する技術として以下の
2レベルに大きく分類できよう.
 1)VOC使用量の削減に係る技術
 2)使用した(排出)VOCを無害化・リサイクルに係る技術


それぞれについて概観する.


5.1 VOC使用量の削減に係る技術
VOCによる環境負荷を減らすためには,先ず第一にVOCの排出量を削減することで
あろう.排出を減らすには,何といっても使用する絶対的な総量を減らすことであろう.そ
のためには,①使用総量削減,②効率的に使用する,③代替VOCを活用する,の3つ


                     8
のアプローチがあろう.
 ①使用総量削減
  VOCの実際の使用量を削減することによって,VOC量を削減することができる.ア
 プローチとしては明確かつ単純な方法であろう.


 ②効率的に使用する
  VOC使用の効率化を図ることによって,使用量を削減するアプローチである.例え
 ば,塗装や印刷のようなラインにおいて,製品のヤレ(不良品)率を向上させることに
 よって,生産量に対するVOC使用量を削減することが可能である.


 ③代替VOCを活用する
  従来においてVOCを使用していたプロセスに対して,VOC代替品に置き換える処
 理である.例えば,溶剤系の塗料やインキを水系塗料やインキに置き換えることにより
 VOCを削減するのである.


5.2 使用したVOCを無害化・リサイクルに係る技術
使用したVOCは排出されることになる.このとき,排出されるVOCによる負荷を減らす
には,以下のようなアプローチが可能である.①無害化(処理),②再利用(リサイクル),
③再活用(別用途向けリユース)の3種である.


 ①無害化
  一般に,VOCは有機溶剤蒸気の混合物であるために有害性を指摘される.そこで,
 燃焼などの処理を行うことによって無害化することが可能である.しかし,無害化する
 結果として環境負荷であるCO2を増大させる結果となってしまうことに留意すべきであ
 ろう.また,同時にSOxやNOxを排出してしまう懸念がある.


 ②再利用(リサイクル)
  VOCは排出せずに再凝縮させて液体とすれば,溶剤として再度使用できる.すな
 わち,廃棄物ではなく,資源としてリサイクルする可能性が考えられる.VOCを使用し
 た事業所内のクローズドリサイクルの可能性のみならず,精製プロセスを組込むことに
 よって付加価値創造の可能性も評価すべきである.


 ③再活用(別用途向けリユース)
  排出されるVOCについて,その使用目的を変更して活用することが可能であろう.
 例えば,排出されたVOCについて,ボイラー吸気として活用するような方法である.こ


                     9
 の場合,含有するVOCは燃料の一部として燃焼することになるので,燃料の低減効
 果を生み,CO2の負荷増大にはならない.また,既存のボイラー等を活用するなどの
 総合的な対応の可能性を検討することができる.又回収した液化溶剤を燃料に用い
 るサーマル・リサイクルもこの用途になる.


6.VOC排出削減TAの概要把握
VOCに関して,①使用量削減,②効率化,③代替活用,④無害化,⑤再利用,⑥再
活用など,関連する技術を概観してきた.これらの技術について,TAを行って各技術の
影響評価を試みる.


□TA評価軸
TAを実施するときにおいて考慮すべき観点として,社会・経済・環境の3つの軸を設定
する.また,各評価軸には,ミクロ視点とマクロ視点を設定する.これ以外にも考えられる
と思うが,本TAでは3つに集約する.第4図に,それぞれの評価軸(観点)とVOC使用現
場の関係を図示した.この図において,青枠で示した部分は行政の関わりである.行政
は,それぞれの評価軸に関して,規制や評価など能動的に関わる可能性と権限を持って
いる.そこで,本TAでは,行政の関わりを明示的に示すことに代えて,各評価主体から
の要請を実施するサブシステムである
ととらえることとする.よって,行政シス
テム(政府を含む)は各評価軸の要請
などを実行する段階において,実現
可能な具現化を行う主体としてとらえ
ている.


以下のように評価軸を考える.
▶TA評価における軸
社会・経済・環境
▶視点
ミクロ視点・マクロ視点


以下に各処理技術のTAを示す.

                           第4図 TAの評価軸(視点)
6.1 総量削減処理技術
VOCを使用・活用している事業所において,その使用の総量を削減するには大きな障
害がある.その端的なものは,VOCを使用することは,売上に直結するということである.


                      10
売上を伸ばそうと思えば,VOC使用量の増大を招くのである.よって,このリンクを断ち
切る事が大切であろう.
総量削減のアプローチとしては,VOCを使用する製品類の販売を抑制して,異なる事
業領域を伸ばすことを意味するであろう.


▶社会:
【行政の視点】使用量削減による税制的優位を提供するような処理が可能であろう.
【ミクロ視点】事業所にて使用するVOC総量を削減しても,特に大きな影響は無い.ただ
   し,企業の事業領域が縮減する結果,企業存続の可能性を検討するレベルに至る
   場合が考えられる.
   VOC機能により完成した商品(塗装された商品,印刷された商品,洗浄や接着さ
   れた商品等)の価格が上がり市場に影響を与えると考えられる.
【マクロ視点】企業存続に影響するようになった場合では,雇用等を経由して社会的・経
   済的影響として現れる懸念がある.
▶経済:
【行政の視点】使用量削減による税制的優位を提供するような処理が可能であろう.
【ミクロ視点】VOCを使用する業務の縮小を意味すると考えられる.企業の業績に影響す
   れば,雇用の維持の観点から社会的にも影響を与える懸念がある.
【マクロ視点】地域経済や国家経済等の範囲において,使用者の制限となる反面,代替
   品の供給者の事業拡大の可能性もある.よって,中立であると考えられる.
▶環境:
【行政の視点】排出基準等の規制などを行うことが可能であろう.
【ミクロ視点】VOC排出量の削減になるのであり,基本的に好ましい影響が現れるものと
   考える.
【マクロ視点】VOC排出量の削減になるのであり,基本的に好ましい影響が現れるものと
   考える.


6.2 効率化処理技術
VOCとなる可能性がある各種溶剤について,使用効率を向上させて,その結果として
使用量を削減するアプローチである.現状の業務のなかで実効性を上げることができるこ
と,そして初期設備等の負担が尐ないことなど,実際に実行可能な対応である.また,使
用効率を向上させることは,製品製造コストの削減や,製品の不良率を下げることにも直
結しており,業務として実施しやすいアプローチであろう.
ただし,どのように改善を行っても,使用効率100%以上に上げることはできない.すな
わち,VOC削減において根本的な対応ではないことを内在するアプローチである.


                      11
▶社会:
【行政の視点】特に活動もしくは影響は想定されないと判断する.
【ミクロ視点】事業所にてVOC使用の効率改善を行っても,社会に対して特に大きな影
   響は無い.ただし,効率改善の負荷について負担が発生する可能性がある.
【マクロ視点】企業存続に影響するようになった場合では,雇用等を経由して社会的・経
   済的影響として現れる懸念がある.
▶経済:
【行政の視点】排出基準等の規制など.効率化に係る助成金などの支援構築の可能性
   がある.
【ミクロ視点】事業所にてVOC使用の効率改善を行うことによって,企業の事業性改善に
   寄与するものと考えられる.ただし,効率改善の負荷について負担が発生する可能
   性もある.
【マクロ視点】企業存続に影響するようになった場合では,雇用等を経由して社会的・経
   済的影響として現れる懸念がある.
▶環境:
【行政の視点】排出基準等の規制など.環境影響改善に係る助成金などの支援構築の
   可能性がある.
【ミクロ視点】VOC排出量の削減になるのであり,基本的に好ましい影響が現れるものと
   考える.
【マクロ視点】VOC排出量の削減になるのであり,基本的に好ましい影響が現れるものと
   考える.


6.3 代替化処理技術
VOCとして使用されている資材について,代替製品を活用する削減処理技術である.
一般に,水性もしくは水系の溶剤を活用することが行われている.本アプローチは,VO
C抑制の根本的削減対策技術である.
しかしながら,幾つかの課題も抱えている.まず一つ目の課題群は,水性もしくは水系
の溶剤系を活用するときに,コストの課題,対応する設備と生産プロセスの課題,製品品
質の課題と大きく3つの課題が指摘されている.これらを解決するには,VOCを使用して
いる業界のみでは困難である可能性大きい.社会や行政を含めた対応が望まれる.2つ
めの課題群は,水性もしくは水系溶剤は,資材供給メーカーによる対策であり,ユーザー
や塗装,印刷等の業界による対策ではないことである.供給者と一体化して,さらに行政
や社会とも連携して対応することが望まれるのである.
▶社会:


                      12
【行政の視点】VOC溶剤の供給者,使用者,社会(マーケット)などの相互に入り組んだ
   利害を調整する役割が大きい.税制や補助金に限らず,もっと根本的な社会の意
   識改革まで必要かもしれない.
【ミクロ視点】事業所にてVOC代替を行っても,社会的にな特に大きな影響は無い.ただ
   し,代替品使用による負荷について負担が発生する可能性がある.
【マクロ視点】地域経済や社会まで連携した意識改革になれば,大きなVOC抑制効果が
   期待される.
▶経済:
【行政の視点】VOC溶剤の供給者,使用者,社会(マーケット)などの相互に入り組んだ
   利害を調整する役割が大きい.税制や補助金に限らず,もっと根本的な社会の意
   識改革まで必要かもしれない.
【ミクロ視点】事業所にてVOCの代替を行うことにより,個別企業の業績に影響する懸念
   がある.代替品使用による負荷,品質保証などについて負担が発生する可能性が
   ある.コストアップの圧力となる懸念がある.
【マクロ視点】企業存続に影響するようになった場合では,雇用等を経由して社会的・経
   済的影響として現れる懸念がある.
▶環境:
【行政の視点】排出基準等の規制など.税制や補助金等の支援など.
【ミクロ視点】VOC排出量の削減になるのであり,基本的に好ましい影響が現れるものと
   考える.
【マクロ視点】VOC排出量の削減になるのであり,基本的に好ましい影響が現れるものと
   考える.


6.4 無害化処理技術
VOCを排出した後に処理を行い無害化する技術として,幾つかのものが提案され,実
際に活用されている.代表的な処理法を分類すると,①直接燃焼,②蓄熱燃焼,③触媒
燃焼,④蓄熱・触媒燃焼,⑤プラズマ分解,⑥光触媒分解,⑦生物処理,⑧オゾン分解
となる.これらはいずれも最終的にはCO2と水に分解することになる.エネルギー効率や
設備的な点から分類と優位点および課題が指摘される.
排出されるVOCを無害化することは,現状の産業的な処理技術として大きな可能性と
実現性を共に満たしていると考えられる.


▶社会:
【行政の視点】排出基準等の規制など.設備的な補助金を設定している場合もある.
【ミクロ視点】事業所にてVOC無害化を行っても,特に大きな影響は無い.ただし,無害


                      13
   化に必要な負荷(処理設備用投資と運転費の増加)について金銭的を含めて負担
   が発生する可能性がある.
【マクロ視点】企業存続に影響するようになった場合では,雇用等を経由して社会的・経
   済的影響として現れる懸念がある.
▶経済:
【行政の視点】排出基準等の規制など.無害化に係る助成金などの支援構築の可能性
   がある.
【ミクロ視点】事業所にてVOCの処理を行っても,特に大きな影響は無い.ただし,無害
   化設備による負荷・負担が発生する可能性がある.コストアップの圧力となる懸念が
   ある.
【マクロ視点】企業存続に影響するようになった場合では,雇用等を経由して社会的・経
   済的影響として現れる懸念がある.
▶環境:
【行政の視点】排出基準等の規制など.無害化に係る助成金などの支援構築の可能性
   がある.
【ミクロ視点】事業所や近隣地域におけるVOC排出量の削減になるのであり,基本的に
   好ましい影響が現れるものと考える.
【マクロ視点】VOC排出量の削減になるが,その代わりに環境負荷ガスであるCO 2の排
   出量増大になる.社会的有害性と環境負荷のトレードオフとなるものと考える.


6.5 再利用(リサイクル)処理技術
排出されるVOCについて,それを回収して再利用を行う技術である.現在,一般的に
適用可能な回収技術は,①凝縮法(冷却して液化する),②吸着法(活性炭等により吸着
する),③吸収法(媒質によって吸収する)のいずれかであろう.これらの技術において,
初期設備としてかなりの投資が必要であること,運用において継続的な費用が発生する
点において大きな課題を抱えている.
また,回収した溶剤等を再度使用する可能性が指摘できよう.しかしながら,回収した
溶剤類は混合物であることが多い.よって,回収溶剤をそのまま生産ラインにて使用する
ことは大きな困難があるのが一般的である.
回収した溶剤類を産業資材として活用して,精製を行う事業も可能であろう.しかしなが
ら,本回収・精製事業において,生産される溶剤類の価格に比較して,必要であるコスト
の負担が重いことが多い.その中で特に回収溶剤が元の原料溶剤として完全リサイクル
され,僅かな新品溶剤の補給で成り立つシステムも具体化されており,理想型の資源循
環型のシステムの稼動が工業系で始まっている.これを可能にする条件を考えると,回収
VOC溶剤が1種類で原料として使用可能な純度精製が行われ,回収溶剤単価も回収処


                       14
理コストを上回る等の要件が達成されたケースである.これらの良き例の様に事業性を改
善するような,新たな技術イノベーションや経済システムもしくは行政システム(税制など)
の対応が求められる.


▶社会:
【行政の視点】排出基準等の規制など.再利用(リサイクル)に係る助成金などの支援構
   築の可能性がある.
【ミクロ視点】事業所にてVOCリサイクルを行っても,特に大きな影響は無い.ただし,リサ
   イクルに必要な負荷について金銭的を含めて負担が発生する可能性がある.本ペ
   ージ上段で述べた理想型の資源循環型リサイクルが成り立つ系においては,事業
   所の原料経費の削減と環境汚染の回避のダブル効果が可能と成り,大きな技術貢
   献が実現される.但し溶剤の新品メーカーの市場を奪う事に成り,新品メーカーの
   売上減尐の影響を与える.
【マクロ視点】企業存続に影響するようになった場合では,雇用等を経由して社会的・経
   済的影響として現れる懸念がある.
▶経済:
【行政の視点】排出基準等の規制など.再利用(リサイクル)に係る助成金などの支援構
   築の可能性がある.
【ミクロ視点】事業所にてVOC再利用(リサイクル)を行っても,特に大きな影響は無い.
   ただし,再利用(リサイクル)設備による負荷・負担が発生する可能性がある.コスト
   アップの圧力となる懸念がある.上記理想型においては,事業所の経済性は改善
   する.
【マクロ視点】企業存続に影響するようになった場合では,雇用等を経由して社会的・経
   済的影響として現れる懸念がある.
▶環境:
【行政の視点】排出基準等の規制など.リサイクルに係る助成金などの支援構築の可能
   性がある.上記理想型においては,環境性も改善する.
【ミクロ視点】VOC排出量の削減になるのであり,基本的に好ましい影響が現れるものと
   考える.
【マクロ視点】VOC排出量の削減になるのであり,基本的に好ましい影響が現れるものと
   考える.


6.6 再活用(別用途向けリユース)処理技術
排出されるVOCは,現実的には焼却等の酸化処理が行われることが多い.このような
処理において,酸化されるのであるからその時の反応熱を活用しようという発想が,再活


                      15
用(別用途向けリユース)である.通常のボイラー等において,燃焼に係る吸気系にVOC
を含む排気を導入することにより,燃焼処理を行うとともに,その熱量を回収するのである.
一般的な理解におけるサーマル・リサイクルの考え方に近い.
本再活用処理では,追加的なCO 2の発生を抑制可能であること,そして大幅な設備導
入の必要がないことなど,現実的対策の一つであろう.


▶社会:
【行政の視点】排出基準等の規制など.再活用(別用途向けリユース)に係る助成金など
      の支援構築の可能性がある.
【ミクロ視点】事業所にてVOC再活用(別用途向けリユース)を行っても,特に大きな影響
      は無い.ただし,再活用(別用途向けリユース)に必要な負荷について金銭的を含
      めて負担が発生する可能性もあるが,再活用が大きなメリットを生む可能性もある.
【マクロ視点】企業存続に影響するようになった場合では,雇用等を経由して社会的・経
      済的影響として現れる懸念がある.
▶経済:
【行政の視点】排出基準等の規制など.再活用(別用途向けリユース)に係る助成金など
      の支援構築の可能性がある.
【ミクロ視点】事業所にてVOC再活用(別様と向けリユース)を行っても,特に大きな影響
      は無い.ただし,再活用(別用途向けリユース)設備による負荷・負担が発生する可
      能性がある.コストアップの圧力となる懸念がある.
【マクロ視点】企業存続に影響するようになった場合では,雇用等を経由して社会的・経
      済的影響として現れる懸念がある.
▶環境:
【行政の視点】排出基準等の規制など.再活用(別用途向けリユース)に係る助成金など
      の支援構築の可能性がある.
【ミクロ視点】VOC排出量の削減になるのであり,基本的に好ましい影響が現れるものと
      考える.
【マクロ視点】VOC排出量の削減になるのであり,基本的に好ましい影響が現れるものと
      考える.


6.7 将来におけるTA
今後の時間経過を経て,それぞれの関連はどのように変化するであろうか.概観してみ
よう.


6.7.1 総量削減処理技術


                         16
VOCを発生させる資材は,今後,使用が制限される可能性が大きいであろう.よって,
今後は使用総量として減尐傾向になると考えられる.但し,総量の傾向は景気の状況と
強く相関すると考えられる.留意すべきである.


6.7.2 効率化処理技術
VOC利用の効率化は,今後も暫時進むと考えられる.しかし,効率的活用には自ずと
限界がある.すなわち,使用効率100%以上の効率化は無いのである.


6.7.3 代替化処理技術
水系溶剤の使用は今後早急に進むであろう.水系溶剤の使用を後押しするのは,社会
の圧力であると考えられるが,今後強くなることはあっても弱まることはないであろう.
しかしながら,水系溶剤を使ったときに,塗装や印刷の製品管理が難しい状況も考慮す
べきである.経済的に非効率化してしまう懸念がある.そして,水系溶剤を使用した企業
に大きな不利益が皺寄せされないように社会システムを構築することが必要であろう.


6.7.4 無害化処理技術
排出するVOCを無害化処理することは,今後も進展するであろう.現状の技術では
CO2の排出増大をもたらしてしまうが,今後は再利用(リサイクル)と再活用(別用途向けリ
ユース)の考え方が強くだされると思われる.すべての事業者が同じように圧力を受けて
いるのであり,等しい競争環境にある中で,優劣の差が明確になるであろう.VOCを効率
的かつ負荷を小さくして処理する技術を使いこなした企業が優位に立つと考えられる.


6.7.5 再利用(リサイクル)処理技術
排出するVOCを無害化する技術から再利用(リサイクル)する技術へと開発や活用の
主要技術が変遷すると考えられる.技術は,社会や経済の要望に従って,どのように困
難であると考えられる状況であっても,解決に向け進んでいくと考える.


6.7.6 再活用(別用途向けリユース)処理技術
再利用(リサイクル)とともに再活用(別用途向けリユース)も活用されるであろう.特に,
リサイクル処理におけるプロセス負荷が大きい対象材料に関して,もしくは,再利用(リサ
イクル)へ移行する初期段階では,再活用(別用途向けリユース)への要望が大きくなると
考えられる.


7.排出されるVOC処理技術のTA
VOC排出を抑制し,環境に対する負荷を検討する観点から,VOCに係るステークホル


                       17
ダとして,社会・経済・環境をキーワードとして概観した.その結果,使用量を制限するよう
なアプローチは企業活動の観点からも導入することが困難であろうと考えられる.さらに,
使用者自らの主体性を発揮しづらいと考えられる点からも大幅な導入には限界があると
推定される.
そこで,現実に使用されているVOC処理技術について着目し,排出されるVOCを処
理し,無害化(CO2化も含む)する技術について,さらに技術的観点から分析した.以下
に示す11技術についてそれぞれの優位点と課題を抽出し,詳細な分析を行った.


a) 分解法 燃焼法(①直接燃焼,②蓄熱燃焼,③触媒燃焼,④蓄熱・触媒燃焼)
         非燃焼法(⑤プラズマ分解,⑥光触媒分解,⑦生物処理,⑧オゾン分解)
b) 回収法 ⑨冷却凝縮法,⑩吸着法,⑪吸収法


7.1 直接燃焼技術の現状と課題
【フロー】第5図に直接燃焼法におけるフローを示す.排出されたVOCを燃焼させてCO2
および水と酸化物などに処理するときに,
燃料と空気を必要とし,燃焼させた結果
としてばい煙を発生する.また,装置の
運用において,担当者を必要とする.
【特徴】排出されたVOCを,様々な燃料
により650~800℃程度の高温下で加
熱分解する処理方法である.燃料を燃
焼させるため,CO2の発生量が多くなっ        第5図 直接燃焼技術のフロー
てしまう.ほとんどのVOCに対して有効
であり,広い濃度範囲で活用できる.しかしながら,低濃度では処理効率が極めて悪くな
ってしまうため,濃縮のような前処理をおこなうこともある.また,塗料等の残査物が混合し
ても対応可能である.
【課題】燃料を燃焼させるため,CO 2の発生量が多くなってしまう.また,重油等を燃焼さ
せるため,SOxやNOxなどの有害物質を発生させてしまう.有価であり,再活用可能な
資源を燃焼させてしまうため,リサイクルの観点からも好ましくない.
【将来性】資源の有効活用の観点からも,燃やしてしまうような処理は好ましくない.高濃
度,危険物,混入物の可能性など,燃焼せざるを得ないものは残るであろう.しかし,将
来的にはリサイクル技術による置き換えが好ましい.


7.2 蓄熱燃焼技術の現状と課題
【フロー】第6図に蓄熱燃焼技術におけるフローを示す.排出されたVOCを,高温に保持


                      18
した蓄熱材によって自然燃焼させる処
理方法である.加熱分解,燃焼の結果,
CO 2 および水と酸化物などを排出す
る.
【特徴】蓄熱材に接触して熱分解される
ため,低濃度VOC排出に対応可能で
ある.また,濃度変化にも対応可能であ         第6図 蓄熱燃焼技術のフロー
り,有害物質であるSOxやNOxなど比
較的には生成しない.
【課題】塗料屑などの固形物などが混ざり込むことには比較的弱い.また,蓄熱材を高温
に保持するための熱源が必要であり,熱効率について課題がある.
【将来性】酸化分解技術としては有害物の発生が尐ないので好ましい.しかし,熱源が必
要であり,処理効率の改善が求められるであろう.


7.3 触媒燃焼技術の現状と課題
【フロー】第7図に触媒燃焼法における
フローを示す.排出されたVOCを,触
媒を用いて酸化分解/燃焼させてCO 2
および水と酸化物などに処理する.
【特徴】触媒を用いて酸化分解処理す
るため,比較的低温で処理可能である.
このため,燃料等の熱源にかかる費用
                           第7図 触媒燃焼技術のフロー
が尐なく,SOxやNOxなどの有害物発
生が尐ない.低温処理であるため,設
備装置としても小型化可能である.
【課題】触媒として活用する金属等が高価であること,そして,これらの劣化状況について
評価することが難しい.劣化したならば再生や交換が必要であるが,高価である.タール
やダスト等による触媒の劣化もある.
【将来性】触媒技術の開発により,低コスト化が図られれば有効な処理技術になると考え
られる.有害物等の発生が尐ないことなど,優位点が多く技術開発が待たれるところであ
る.


7.4 蓄熱・触媒燃焼技術の現状と課題
【フロー】第8図に蓄熱・触媒燃焼法におけるフローを示す.排出されたVOCは,蓄熱・
触媒により分解されてCO2および水と酸化物などに処理される.


                      19
【特徴】蓄熱燃焼処理技術に触媒燃焼
処理技術を組み合わせたものである.
比較的低温で処理可能であり,濃度変
化や有害物発生の抑制など多くの優位
点を持つ.
【課題】触媒のコスト高が最大の課題で
あろう.
                           第8図 蓄熱・触媒燃焼技術のフロー
【将来性】触媒燃焼技術とともに,触媒
の発展による低コスト化や効率化の技術発展を期待したい.


7.5 プラズマ分解技術の現状と課題
【フロー】第9図にプラズマ分解法にお
けるフローを示す.排出されたVOCを,
プラズマを活用して分解し,CO2および
水と酸化物などに処理する.処理にお
いて,電気以外の物質を必要としない.
また,ばい煙等の間接的廃棄物を発生          第9図 プラズマ処理技術のフロー
させない.また,装置の運用において,
担当者を必要とする.
【特徴】小型であっても比較的高い効率を実現でき,有害物等を発生しないクリーンな処
理技術である.また,燃料等を必要としないので,SOxやNOxなどの有害物を発生しな
い.
【課題】プラズマ発生にエネルギーを必要とすること,ある程度の大きさの事業所等に活
用する処理量を効率的に得ることなど,開発途上であろう.また,減圧等の処理が必要で
ある可能性も指摘したい.
【将来性】プラズマ技術による有害物分解処理などの可能性は指摘され,研究が進めら
れている.VOCのような産業資材の処理に適用可能であるか,今のところ見通しが明確
になっていない.


7.6 光触媒分解技術の現状と課題
【フロー】第10図に光触媒分解法にお
けるフローを示す.排出されたVOCを,
光触媒で分解してCO 2および水と酸化        第10図 光触媒処理技術のフロー
物などに処理する.また,装置の運用に
おいて,担当者を必要とする.


                      20
【特徴】光触媒による分解であり,紫外線等を発生する設備と光触媒システムが必要とな
る.常温で処理可能であり,熱効率に優れた点を持つ.また,処理において,電気以外
の物質を必要としない.よって,有害物等を発生しないクリーンな処理技術である.また,
燃料等を必要としないので,SOxやNOxなどの有害物を発生しない.小型であっても比
較的高い効率を実現できると考えられる.
【課題】産業用に使用されるVOC排出に十分に対応できるか明確でない.紫外線触媒
等の劣化なども懸念であろう.
【将来性】効率に優れた光触媒分解システムを構築することが可能となれば,実際の事業
所におけるVOC処理に適用可能であろう.しかし,現時点では,大規模な産業用途に適
用できるかどうか明確ではない.


7.7 生物処理技術の現状と課題
【フロー】第11図に生物処理法における
フローを示す.排出されたVOCを,生物
的分解処理を経てCO2および水と酸化物
などに処理する.また,装置の運用にお
いて,担当者を必要とする.
【特徴】生物分解を行うため,処理量に対
                             第11図 生物処理技術のフロー
して比較的設備的な設備が必要となる.
【課題】処理効率であろう.特に,濃度変化や高濃度VOCの処理など,適用可能な条件
が狭いと推定されよう.
【将来性】設備の規模と処理効率についての技術開発の進展が待たれる.


7.8 オゾン分解処理技術の現状と課題
【フロー】第12図にオゾン分解処理法に
おけるフローを示す.排出されたVOC
を,オゾンを活用して分解してCO 2およ
び水と酸化物などに処理する.また,装
置の運用において,担当者を必要とす
る.
【特徴】オゾンによる分解であり,小型で
あっても比較的高い効率を実現できると          第12図 オゾン分解技術のフロー

考えられる.
【課題】オゾン発生設備が必要であるため,付加的な設備が必要である.VOC濃度変化
や高濃度VOCなどに対する対応が難しい.また,オゾン自体について有毒である可能


                       21
性もある.よって,オゾンの排出についても注意を要する.
【将来性】オゾンを活用することによる明確なメリットを見いだすことが必要であろう.


7.9 冷却凝縮回収技術の現状と課題
【フロー】第13図に冷却凝縮回収処理
法におけるフローを示す.排出されたV
OCを,冷却装置により凝縮させて分離
し,回収する方法である.また,装置の
運用において,担当者を必要とする.
                            第13図 冷却凝縮回収技術のフロー
【特徴】単一のVOCを用いる場合であり,
排出ガス量が比較的尐ない場合に活用される.特に,単一のVOCであれば,回収したV
OCをリサイクル利用可能である.消耗資材が無いので,保守が比較的容易である.
【課題】低濃度の場合、VOC除去効率がそれほど高くないため,低濃度VOCに対して
適用することが難しい.VOC濃度500ppmC以上,処理量5m 3/分以下で使われること
が多い.
【将来性】回収したVOCのリサイクルが可能であることから,将来的には活用が進展する
ことが好ましい.各事業所で回収してリサイクルするような処理にとどまらず,混合物であ
っても回収し,精製処理を経て再活用するようなマテリアルサイクルを構築することを進め
るべきであろう.


7.10 吸着回収技術の現状と課題
【フロー】第14図に吸着回収処理法に
おけるフローを示す.排出されたVOC
を,吸着材を用いて吸着回収する.
【特徴】活性炭,シリカゲル,ゼオライトな
どの吸着材を用いてVOCを吸着除去
する.そして,脱着させて分離回収する.
設備として大規模になることが多く,吸
着と脱着を繰返すようなプロセスを構築           第14図 吸着回収技術のフロー
する.吸着材の種類,量,保持方法,交
換の有無など,様々な構成がある.
【課題】比較的大規模な設備と運用の手間が課題であろう.吸着材の劣化もあり,定期的
に交換が必要であることが多く,費用が嵩む.
【将来性】現在の技術において実用可能な回収技術の一つであり,さらに効率化が望ま
れる.システムとしての改善が進展すれば,適用範囲の拡大もあろう.


                       22
7.11 吸収回収技術の現状と課題
【フロー】第15図に吸収回収処理法に
おけるフローを示す.排出されたVOC
を吸収する資材を活用して処理する.
【特徴】VOCの種別により適した吸収剤
を用いることが必要であり,汎用性に制
限がある.小型であっても比較的高い効         第15図 吸収回収技術のフロー
率を実現できると考えられるなど,限ら
れた対象について実用的な技術である.
【課題】運用において吸収媒が必要である.また,吸収媒について再処理により精製や
破棄が必要となる.また,吸収媒によりそれぞれ適用可能なVOCが限られることになる.
VOC濃度100ppmC以下,処理量5m3/分以下で使われることが多い.
【将来性】限定されたVOCに対して有効であり,活用可能であると考える。VOC に適した
吸収媒が有効的に選択される場合に,将来的に大きく発展する可能性があろう.


8 VOC削減技術テクノロジーアセスメントの概観
8.1 VOC削減技術テクノロジーアセスメントのまとめ
第6項,第7項で様々なVOC処理技術について,その概要と優位点や課題を概観した.
簡単にまとめてみよう.


1) VOCの発生を抑制する技術について,多くの技術的観点が考えられるが,VOCを
  使用する製品の生産量や性能に対する制限要因となる可能性が強い.よって,VO
  C使用量を抑制するアプローチは,VOCを使用する事業者の主体的な適用として
  難しいかもしれない.


2) VOC排出において処理する技術として,大きく無害化と回収使用に分けられるであ
  ろう.リユースとしてVOCを原材料として活用したり燃料とすることは,回収溶剤の集
  積量と輸送料金の観点が重要で,経済的な困難を伴う場合も多いであろう.


3) VOCを無害化するには,将来においても何らかの環境や経済に対する負担の可能
  性が大きい.特に,環境の側面が強調されるのであれば,無害化処理よりも再利用
  (リサイクル)処理技術へと軸足が変化すると推定されて,将来的には資源循環化社
  会の構築を目指す方向へ向かうと思われる.特に,資源価格の高騰が起こることによ
  り様々なリサイクルの経済性改善が注目されるので,普段からの対応を怠りなくしっ


                      23
  かりした準備をしておく事が肝要である.


4) 無害化から再利用(リサイクル)へと主たる技術が置き換えられるように,社会・経済・
  環境において連携が必要であろう.また,これらの連携構築において行政が大きく関
  与することが必要と思われる.


5) 社会・経済・環境の連携構築において,技術的スキルと経験を持つ技術士を活用し
  ていくことが重要と思われる.特に行政と連携して,公益優先の責務,社会的倫理観,
  守秘義務などの特徴が法的に規定されている点をもっと前面に出して,技術士を活
  用すべきであろう.


6) VOC削減を現実に動かすには,VOCに関連するステークホルダそれぞれにおいて
  有利となるような仕組みを構築することが大切であろう.何らかの不利益を皺寄せす
  るようなシステムでは,VOC削減の進展が阻害されるであろう.




                     24
8.1 VOC削減技術テクノロジーアセスメントの総合点比較
幾つかのVOC削減技術について,テクノロジーアセスメントをおこなった.その結果に
ついて相互に比較するため,総合点を算出したので一覧にまとめて示そう.配点は今後
社会的な要請に合わせて,経済的,環境的,技術的なウエイトが変っていって然るべきと
考える.
                                    経済的観点
                                                     環 境   技 術
                        社会的                    有 効
大分類    中分類    VOC処理対応                                的 観   的 将      総合点
                        観点     設備        運転    回 収   点     来性
                                               品
              不使用製品
                        +10        +5    −10         +20   +20      +45
       総量削    の開発
 使     減      該当製品を
 用                      +10         0    −20         +20   —20      −10
              生産しない
 量
 削
 減     効率化    使用効率向上    +10    +10       +10         +20   +5       +55

       代替材
              水性塗料      +20        −10   −10         +30   +20      +50
       使用

              直接燃焼      −10    +10       + 5         −20    0       −15

       無害化
              蓄熱燃焼      −10    + 5       +10         −15    0       −10
       処理
       (燃焼
       法)     触媒燃焼      −10    + 5       + 5         −10    0       −10

              蓄熱・触媒燃焼   -10        + 5   + 5         -10   +10       0

              プラズマ分解    −10        +5    + 0         −15        0   −20

       無害化    光触媒(紫外
 排                      −10    +10       +10         −10   + 5      −10
 出     処理     線)分解
 V     (非燃
 O            生物分解      −15        +0    +0          −15    0       −35
 C     焼法)
 処
 理            オゾン分解     −15        +0    +0          −20    0       −30

              凝縮回収      +30        −10   −10   +20   +30   +20      +80
       リサイ
       クル     吸着回収      +30        −10   −20   +10   +30   +20      +60
       処理
              吸収回収      +30        −10   −10   +20   +30   +20      +80

              燃料        +10        -5    -10   +10   +10   +10      +25
       リユース
       処理
              合成原料      +20        −10   -10   +20   +25   +10      +55

無処理    無設備     -        −30         0     0          −30    0       −60




                              25
9.技術士からの提言
技術士の立場からVOC低減および無害化技術に関する提言をまとめてみる.
技術の観点から,有用なVOCを選択分離回収する新分離技術の発想法(1)と事業所で
回収された溶剤の回収ネットを可能とする統合化(2)の土壌作りを考える必要がある.


(1)現状の処理法では,燃焼法を含む分解法では CO2の大量発生を招き,回収法の
冷却凝縮法や吸収法では気相と液相の相変化を利用した分離のために多量の熱的な
エネルギーの移動を必要とする経済性の問題を生む.そこで排気中のVOCを低エネル
ギーで分離する技術を模索すると,膜分離法が未だ有効に使われていない.膜分離法
は膜の特性と分離するガス組成と被分離ガスの特質の相性が一番の問題と成る.従って
一番市場が大きく有効性の高いVOC排ガスを選定して,その分離にフィットする膜の選
定や膜の創成法の開発により新たなVOC回収技術の開発を期待したい.この低エネル
ギー分離法とその液化法を組み合わせる高純度品リサイクル技術を期待したい.


(2)VOCを発生する業種(塗装,印刷,洗浄,接着,クリーニング業)は,全て街中に事
業所が存在する.このため,化学コンビナートのように取扱う物質に関する専門性に不足
しており,かつ発生するVOCなどを集中して処理することが不可能な分散型である.この
ような不利を克服するためには,発生・抑制・処理・回収などの各プロセスおよび関連す
る情報や技術などにおいて,異なる事業者や行政などの多くの独立した法人等を巻き込
んで半集中処理対応できるネットワークを構築する必要がある.また,継続的にイノベー
ションを創出する“仕組み”を構築することが重要であろう.これらを具体的に構築するた
めには,多くの利害関係者の相互の利益を摺り合わせるようなコーディネーションを行う
必要があろう.このような立場や役割を最も効率的に受け持つことができるのは,第三者
的な立場を明確にし,公益優先の義務を有する技術士である.技術士がその役割と対応
において良い便宜を提供できる事を期待する.


10.結言
 本報告書では,先ずVOCの排出の現状と,その環境への影響に付いて述べた.現状
では政府のVOC排出削減努力に対して,環境改善への効果は十分とは言えず,且つ
日本の西部では,中国・韓国からの越境汚染が問題となっている.これに対するVOC処
理技術のテクノロジー・アセスメント(TA)として,考慮すべき観点を社会・経済・環境の3
つの評価軸を設定し,各軸には,ミクロ視点とマクロ視点を設けてTAを進めた.
その中で,本報告書が抽出した成果は(1)VOC含有化学品の使用量削減は,事業の
成長や経済的な要因から事業者の取り得る最善策とは成り得ない.(2)従って,排出VO
Cの処理技術を検討するべきであろう.(3)排出処理技術として,現在は排出量の半数


                     26
以上を燃焼処理しているが,将来的には回収してリサイクル使用すべきである.(4)資源
循環型の持続社会,次世代への負の遺産削減などの観点からも,社会的にも早急にリサ
イクルシステムの構築が求められる.(5)しかし現状では,政府の規制,リサイクル技術と
設備の提供とリサイクル事業を行う企業,そしてVOCを発生する事業所の関係者間で経
済性重視の処理技術と操業が決められていると推定されるので,処理の内部データと社
会・経済・環境への影響の相関性が議論出来ない.(6)その結果あるべき技術開発の方
向性も定かで無い.(7)実現可能なリサイクルや効率的な処理において,利益調整を担
うコーディネーターとして,技術士を有効に活用して,事業所の処理のあり方や,社会・経
済・環境への影響評価のバランスを考える事が期待される.
以上を具体的に進めるには,社会問題として取上げて,オープン・イノベーション型の
問題解決を図る体制構築が必要であり,あるべき技術開発を軸にした全員参加と全員貢
献型の資源循環型システムの構築を目指すべきと考える.


以上




                    27
レビュアー(五十音順,敬称略)
1.本田尚士氏(元社団法人日本技術士会副会長,前創造工学研究所所長)
(1)TAに対するとらえ方
  TAに対する考え方が色々あると思うが,私は新規開発を計画している未知の技術
  の社会に及ぼす各種影響に対して予見を纏めることであると理解する.
  既存の技術を適用する場合の環境アセスメントと,基本的な相違は技術内容の詳
  細が不明である点にある.本件は地域を想定しない環境アセスメントである点が,T
  Aに馴染まない.
(2)影響範囲の設定
  通常は前述の様な新規開発技術の場合,開発の難易・開発後の既存産業に対す
  る影響・資源問題・環境・文化・道徳・国際関係等に及ぼす影響等について評価す
  る物と理解して居るので,違和感を受ける.


□レビューに対する著者のコメント
(1)レビューにより頂いたご意見,TAの対象について新規開発の技術であるとのご意
 見は,全くの正論であると考える.しかし,我々は,TAの対象をもう尐し広く捉えても良
 いのではないかと考えている.すなわち,活用が始まった初期段階にある新しい技術
 は,その安全性や,社会的な影響や,活用の結果などについて十分な評価が行われ
 ないままに産業的に適用されてしまうものがままあると考えるのである.一例であるが,
 遺伝子組み換えによる野菜類などがあろう.よって,『未知の技術』ではなくても,社会
 的要望により広く活用されるように望まれている技術分野などにおいて,従来とは異な
 る技術の活用や,装置の活用など,TAの手法を適用した評価が行われることは社会
 的にも意味の大きいものと考えている.
  特に,本TAの対象として設定したような,環境問題やその対策技術などは,現在の
 処理技術や,実際に実施されている処理などが未成熟であることが原因で,かえって
 環境の悪化を引き起している例すらあるかもしれない.そこで,社会的・経済的・環境
 的なあらゆる面から,将来に向けて現在何をすべきかに付いて科学的な議論を行い,
 それに基づいて対策を実施し,また適確な修正を行う必要があると考える.この場合,
 新規開発とか既存技術とかに拘らず,将来の目的に対して迅速に対応する観点と,関
 連する技術と,該技術を開発し構築していく考え方が重要と思う.




                      28
2.八代英美氏 (芝浦工業大学 大学院工学研究科 非常勤講師,
         株式会社IMSコンサルティング 代表取締役)


(1)一般の社会人が VOC 排出の弊害を知り,その処理技術の概要を知るには,適当な
 資料だと思う.環境問題の現状を知り,発生VOCの処理技術の基礎を知るには分か
 り易くて参考になる.8章の処理技術の比較は面白くどの技術が社会にとって有益か
 が良く判るので,VOC発生工場はしっかりと責任を持って,回収とリサイクルに繋げ
 て,環境の改善策に責任を持って欲しいと感じた.
(2)このTAでは,経済,環境,社会との関係を述べている6章と,処理技術の種類と特
 徴を述べている7章が主なハイライトであると思う.記述の面で厳しく言うと,6章は関
 係性に繰り返しがあり,7章の処理技術の記述はもっと深堀の内容が欲しい.8章の
 各種処理技術の総合得点は面白いと思うが,それが結言により明確にもっと強調さ
 れて書くべきであり,全体の主張が弱く成っているように思う.
(3)TAの訴えたい事を副題で伝えるべき.例えば
 -リサイクル技術開発への提言-
 ―溶剤回収のネットワーク化―


□レビューに対する著者のコメント
(1)このTAを上手く使って,VOC問題を考える基本ベースの理解が進むと有り難いと
 思っている.ご意見について感謝いたします.
(2)ご指摘のようにTAに関連する技術内容などの情報を述べる必要についても考慮す
 べきかと考えた.しかし,今回のTAについて,その内容をご理解いただく方,すなわ
 ち本TAを説明する方として公衆,特にVOC処理にご関心を頂いている公衆として設
 定させて頂いた.このようなターゲットを設定したことにより,VOC処理技術の適格性
 や詳細既述よりも,網羅的な既述を優先すべきと判断させて頂いた.また,TAを実施
 する立場として,第三者を設定させて頂いたことから,処理技術などに関する優劣など
 についても全体的なバランスに配慮しながら既述させて頂いた.このような既述は,あ
 る面では物足りない印象をお持ちただいたかもしれない.全体のバランスとして,我々
 の観点から実施したTAとしてまとめさせて頂いた.
(3)既述のように,本TAは第三者的立場からの観点を示しながら実施した.よって,特
 に副題として方向付けを行うことは避けるべきと考えている.今回は,バランスの観点
 から副題は使用しないで報告とさせて頂く.




                    29
謝辞
 弊研究所は,本田尚士技術士により設立され,約30年の歴史を有する.本田技術士の
活動の一つに,日本における初期のテクノロジーアセスメント構築がある.近年,社会の
劇的変化,技術の急速な発展,環境の評価と持続性の検討など,技術と社会の関わりを
検討評価する必要性が指摘されている.本報告書は,本田技術士の先駆的な実績を活
用すべく,i2TAプロジェクトよりご依頼を受け,技術士の観点をふまえたテクノロジーアセ
スメントを試行した報告書である.
 本報告書作成において,多くの方々にご議論いただいた.特に,創造工学研究会の皆
様には,細部にわたる議論とインスピレーションを頂いた.創造工学研究会の会員である,
坪井氏,町野氏,吉原氏,金谷氏,西角井氏,矢部氏,その他の会員の皆様に対して多
大なる感謝を示すものである.


引用文献
1)環境省 HP,2010, 光化学オキシダントと SPM,
2) 独立法人・国立環境研究所 HP,研究最前線第9回-越境大気汚染
3) Farmer, et al.,1985 “Large losses of total ozone in Antarctica reveals seasonal
   ClOx/Nox interaction.”, Nature, 315, 207-210
4) 環境省 HP,2010,IPCC第4次評価報告書について
5) 環境省 HP,2010,VOC排出量 2007 年度インベントリー・データ
6) 木村直久,鶴岡洋幸,2010,産業技術総合研究所監修『LCA に基づく,化学品の
   CO2発生量計算ソフト』使用による CO2発生量の計算結果,日本溶剤リサイクル工業
   会内部資料
7) I2TAプロジェクト,2010,テクノロジーアセスメント-社会の変革と調和のために-
   東京大学公共政策大学院,「先進技術の社会影響評価手法の開発と社会への定
   着」研究開発プロジェクト(平成19~22年度)
8) 技術士倫理要綱,2010,(社団法人)日本技術士会 HP
9) 改正大気汚染防止法,平成 16 年 5 月公布,平成 18 年 5 月施行


                                                                 ―以上―




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著者紹介


鶴岡 洋幸:修習技術者,創造工学研究所客員所員
平野 輝美:技術士(化学部門),創造工学研究所長
秋元 英郎:技術士(化学部門),創造工学研究所客員所員
清水 隆男:技術士(化学部門),創造工学研究所副所長
沖津 修:技術士(化学部門),創造工学研究所副所長


創造工学研究所
 昭和53年(1978年),本田尚士技術士により創立.技術士事務所として活動を継続し
てきた.2009年8月,所長として平野輝美着任.現在に至る.


〒105−0003 東京都港区西新橋1−17−7第一稲垣ビル3階
http://web.me.com/ce_hirano/CERI/TOP.html




                                     31

								
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